教育福島0065号(1981年(S56)10月)-027page
した中で、いろいろな場面に使える物をあげてみる。怪獣の衣装、五人乗りの宇宙戦艦ヤマト、ウレタンを入れた大型ぬいぐるみ、動物の大型ペープサート、動物の指人形、カラーダンボール箱、劇で使った引き戸、立木、草むら、模擬食品、擬音、動物の鳴き声などのカセットテープなど。
第三に、学習の過程や進行状況が子供自身にわかるようにすること。壁面に学習した事柄を表わしたり、練習日程表をてん付する。
更に毎年繰り返して行う季節的な単元では、同じ展開の仕方でなく、子供の実態を考慮しながら、重点を置く活動を変えていく配慮をする。
また、子供たちが生き生きと活動するためには雰囲気作りも大切である。「そばやさんごっこ」でのれんを掛けたり、メニューを置いたら、子供たちは楽しそうだった。このような小道具などの他、バックグランドミュージックも雰囲気を盛り上げるために良い。
三 生活単元学習の広がり
(一) 他の学習への広がり
生活単元学習はその時間だけ行うのではなく、学校生活の様々な時間に広げてやるとひとつのめあてを持って学校生活を充実して過ごせる。
例えば「春の遠足」の生活単元を進めながら、音楽の時間に「遠足」の歌の練習をしたり、合同生活では、近くの森林公園まで散歩させ、類似の体験をさせた。また、調理実習の材料を買いに行くために算数の時間に金銭についての学習を行い、これは買物が終わった後も続けられた。(現在の小学部では教科としては行っていない。四年前のことである)
それから、「秋の食べ物」で味覚、触覚、嗅覚などを通して野菜や果物をあてる等の学習も行ったら、給食の時「これは何だろう」と入っている材料に関心を示すようになった。このように日常生活の指導へ広がって行くこともある。
(二) 家庭や施設への広がり
学校生活だけでなく、家庭や施設でも生活単元学習で学んだことが繰り返し行われたり、発展されたりする。
調理実習「インスタントラーメン作り」を学校でした後、家から通っているA君は、ラーメンを作って、家族に食べさせた。
また、施設では、クリスマス会の出し物に、学校でした「怪獣ごっこ」のような物をやろうと子供たちが決めて自分たちで怪獣の衣装を作った。
四 生活単元学習を支える条件
(一) 情緒の安定
温かい受容的な雰囲気の中で子供がのびのびと行動できるような環境を整えてやる。戸外での活動や水遊び、砂遊び、そしてウレタン、新聞紙、木の葉などを使った「散らかし遊び」などは子供の心を解放させる。
例えば、柔らかいウレタンの切れ端を散らかして遊んだ「散らかし遊び」では、ふだん静かであまり大きな声を出さないT子が、ウレタンを先生にぶっつけたり、背中に入れたりして、歓声をあげて活動した。
(二) 子供の正しい理解と生活の実態把握
子供とかかわっていく上で大切なことは子供を正しく理解することである。生活単元学習を組み立てて行く時にも、子供のつぶやきや行動を逃さずとらえ、子供が何に興味や関心を抱いているのか、また子供の生活の実態はどのようかを的確に把握しなければならない。
一昨年のことだが、中庭に敷くという土が教室の前に高く積まれた。すると、一人の子が休み時間に土をいじり始めた。それでこの山で土遊びをさせようと移植べらや砂遊びの道具を出した。子供達はプリンを作ったりして遊んでいたが、やがてK児は頂上からみぞを掘りバケツに水をくんできて流し始め、提防作りへと発展していった。
(三) 家庭や施設との連携
生活単元学習を進める上で、また、学んだことを実際の生活に生かす上で家庭や施設との連携を密にすることが大切である。
「乗り物」の学習で電車に乗ったことを連絡簿などで知ったS君の家では次週の日曜日、切符を一人買わせたりして、郡山まで、電車で行ってきた。
楽しいお好みやき
ウレタンあそび