教育福島0065号(1981年(S56)10月)-034page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

わたしの研究実践

 

食物実習

事前・事後指導の工夫

福島県立岩瀬農業高等学校教諭

山 縣 アサコ

 

一 はじめに

食物実習は、食物の総合指導で、あらゆる観点からそつなく指導をしなければならないと考えられる。

とりわけ実習そのものの時間は、教師として、最も力を入れることは当然であるし、担当教師は、誰もが真剣に取り組むところと思われる。そのかげにあっては、めだたない生徒に対する徹底した指導がひそみ、教師の手腕を必要とする実習前の指導・実習後の指導があると思う。実習をともなう教科は、いずれにしてもこういった問題研究をはらんでいるわけだが、今回の指導の工夫について試みたことを以下述べる。

二 生徒の実態について

本校生徒は大部分が農家出身で、どちらかというと仕事に対する計画・実施・反省等系統だった一連の考え方や処理について的確にできる生徒は少なく苦慮するところであるが、食物実習そのものに対する意欲は百パーセントで、こばむ生徒は皆無であることは、担任教師のやりがいのあるところである。

三 事前指導について

一グループ五人として実習に関する材料注文から支払いまで一切の仕事を担当するようにした。表1の「実習当番の仕事表」のカードにより各学年ごとに作成し、これに従って展開できるように工夫をしてみた。

(一) 「月」実習の説明(食物授業)

その学年によって、曜日がそれぞれ違ってくるが、実習前の仕事は一週間以内に展開する。

(二) 「火」材料注文表作成

調理実習計画表を担当教師から当番生徒代表が受けとり作成する。

調味料の注文欄は、食物実習室の調味料の在庫状況と他学年の使用予定等を教師にうかがって記入するところである。なお調味料は各学年共通で、一括して支払うので、納品書は別にしてもらうように指導する。八グループの注文数を算出し、あらかじめ公欠等での欠席者の数はへらすようにし、また試食のあるグループは、一人前加算するようにして作成に当る。

(三) 「水」注文表の点検を受ける。

実施記録欄に注文表点検「印」とあり担当教師の確認印をもらわなくは材料注文はできないようにしてある。その時に注文表の「注意点」のところに購入の際の注意すべき点を教師が朱記するか、又は生徒が聞きながら書いたりする場合もある。

食物担当教師の机上には、「材料注文表入れ」のケースがあり当番生は、そこへ入れておくと教師があき時間等を利用して点検して入れておくことにしてある。ここで当番生の注文に手落ちないように一つの区切りをつけるところであり「印」をおすようにしてからは注文上のミスは少なくなり工夫をした点である。

(四) 「木」材料注文をする

学校の買いつけの店もあるが、材料によっては生徒の自由意志に任せる。

(五) 「金」材料注文の結果を報告

材料の有無、又は代用品にしなければならないものなど、生徒の判断できかねることについて報告をするようにした。以前はこのあたりの手ぬかりがありスムーズにいかなかったので「報告」をするようにしたが、実習材料の不揃いも、あわてることもなくなり改善された一つである。

(六) 試食連絡カード配布

あらかじめ、御試食いただく先生に「連絡カード」を渡し知らせておくように配慮した。その際半分はきりとり実習当日の膳にのせ先生の間違いをなくすようにした。この連絡カードは、試食の先生自身の昼食の準備の都合や同姓の先生の間違いなどをなくすことができるようになった。

(七) 「土」材料を各台に配分

放課後、鮮度にあまり関係のない材料については配分し、翌日の実習にさしつかえることのないようにした。この結果、当日あわてることもなく実習開始も一斉にできるようになった。

以上のように実習前の仕事に関しては、一つの流れの中でカードに従って進められるので、活発に展開するようになった。

四 事後指導について

(八) 「月」実習当日は生物について時間前に分配し、材料変更や注意を当番より発表するようにした。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。