教育福島0065号(1981年(S56)10月)-039page

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大きな収穫であった。

早速、栄養の授業にビタミンCの実験を取り入れてみた。目で見て変化をとらえて喜ぶ児童の生き生きとした姿が見られた。そしてその結果が印象強く残ったようで、調理をするときにはできるだけ栄養を壊さないようにと考える姿勢が感じられるようになり、体験を通して理解することがいかに身につくものであるかを改めて思い知らされた。

また、エプロンの製作や被服材料の吸水性などの標本も授業の中に生かし大変役だっている。小物作りの資料はコピーして使っているが、特に仕事の早い児童によい参考となっている。

被服領域では、児童の作品を主に使い、自分で作成してみるということが今まであまりなかったが、この研修を機会に自分で実物見本を作り提示して見せるということが気軽にできるようになった感じがする。

授業の展開に方向性を示していただいたので、少しずつでも授業の改善を図るよう努力していきたい。

(梁川小学校教諭 宮口八千代)

 

◆中学校技術・家庭講座(女子)

講座で製作した教具や、調理実験と実習及び被服に関するいろいろな検証は、学校では欲しくともなかなかできないでいたもので、それが一つ一つ科学的に研修ができ、一つの実証かためともなり、また得た技能や観察などで自信を持つことができたことは、即、生徒への還元となり生きてくる。

研修で学んで得た資材や標本は、学校に持ち帰って授業に活用でき、自作教具の在り方、提示など見直す機会となり「効果的な教具の活用」となっている。また生徒が手にとることによって製作意欲を盛り上げ「よく見て、よく聞き、よく考え」をモットーに授業にのぞみ、工夫、創造の実践活動の基盤になっていることは、大変ありがたいと思う。

いまでは、標本もグループの数だけふえて観察が手軽にでき、個人から集団思考へと学習が発展し「楽しく、わかる授業」へと歩みを進めている。

(郡山第四中学校教諭 星博子)

 

◆中学校技術・家庭講座(男子)

講座は、各領域全般にわたっていて教師の知的、技術的経験の高まりとともに、直接、間接に授業の充実に寄与する内容のものであった。例えば、

 

○土壌実験と草花の栽培法

○ガソリン機関の整備

○木材加工(1)の題材研究

 

などは、なんのためらいもなく、指導計画に位置づけ、学習題材として授業に取り入れることができた。

ところで、本講座での研究成果を直接授業に生かすことは、もちろん大切だが、その内容を間接的に活用することも受講者として、重要な課題でもあると思う。以下一つの実践例を紹介する。

本講座で製作した整流、平滑波形観察装置は、電気(2)の領域の指導に直接活用したほか、そのまま電源装置として、あるいは、スピーカ1のはたらきを理解させるための発振器など(オシロスコープの代用として音の違いで波形を判別する)いろいろに活用できる。

それ以上に、本装置の活用が動機となって、半波整流の電源装置が、全波整流の電源装置の製作にまで発展したことは特筆できる。

(赤井中学校教諭 鈴木明)

 

おわりに

技術、家庭科は、あくまでも実物を対象として、その中に生きている原理性や法則性を感性に訴えて、理解をはかり、その理解を基礎にして、生徒の創造的思考をのばし、実践的な能力を高めることを最終のねらいとしている。

それで、指導する領域も広く、内容的にも底深いものがあるから、指導者の専門的な技能が要求されるので、それに対応できる密度の高い研修が当然必要となってくる。

そこで本講座においても、これらの教科の特質を踏まえて、指導者の専門的知識・技能の向上とともに、授業充実に直接かかわる題材及び教材教具の開発など、今後一層努力して、講座内容の充実をはかり研修の成果を高めていきたいと考えている。

 

◆生徒の作品

◆生徒の作品

 

標本を活用しての授業

標本を活用しての授業

 

 

 


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