教育福島0065号(1981年(S56)10月)-044page

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新装なった郡山市図書館

郡山市図書館副館長

佐藤晃二

図書館コーナー

 

図書館コーナー

 

開館一か月

六万五千冊の貸し出し

 

市民が長い間、待ち望んでいた新図書館は、七月一日に新装開館した。

旧図書館は建設後、二十数年を経て老朽化しており、加えて東北一の読書量を持つ市民の要望にこたえるには、狭くなっていた。

このため、市民の新図書館に対する期待も大きく、開館後の七月一か月間で一万八千七百三十三人が六万五千二百二十一冊の本を借りていった。

これは昨年同期の三倍近くの利用状況である。一日平均でも二千五百九冊になり、最高は七月五日の日曜日で、実に六千六百九十二冊に達した。

更に七月中の新規登録者は一万百三十人を数え、昨一年間の登録者七千五百人をはるかにオーバーした。

特徴的なのは、本を借りないが、館内で読書をしたり、新聞雑誌を読んだり、レコードを聞いたりする入館者が非常に多く、七月中に四万六千八百三十二人が入館したと推計される。

×   ×   ×   ×

新図書館が図書資料等の貸し出しだけでなく、市民が教養、研究、レクリエーションの場として広く活用していることが分かる。

図書館は本が置いてある市民の自由広場という、当初の目標通りに、多面的に、しかも予想をはるかにこえた規模で利用されつつある。

 

東北一の規模と内容

 

新図書館の建設は、昭和五十三年夏から計画され、当初から市民参加ということで、図書館建設懇談会が組織され、広く市民各層の意見を反映して、計画が立案された。

設計はコンペ方式で、最高裁、警視庁を設計した岡田信一事務所が、本体工事は鹿島建設が担当して、五十五年二月着工し五十六年三月完成した。

地上三階、地下一階の鉄筋コンクリート造りで、延面積五千八百八十八平方米あり、その規模においても東北一の施設である。

地下部分は、主に保存書庫と移動図書館の基地である。保存書庫は十万冊収容可能であり、移動図書館用としては二万冊の書庫がある。他にブックモビールの車庫と、納入図書の整理作業室がある。

一階は貸し出し図書館の機能を持っており、千四百平方メートルの開架貸出室に十万冊の貸出図書が配列されている。障害者コーナー、レコードコーナー、お話し会室など多面的なサービス機能をそなえた図書館の中心的部分である。

二階は調査図書館の役割りを果たしている。参考図書一万冊のレファレンスルーム(参考調査室)と五千冊の郷土資料を持つ郷土市民資料コーナーがある。

他にブラウジングコーナー、専門雑誌コーナー。喫茶室等がある。

三階部分は視聴覚センターとして別組織になっており、二百五十人収容のホール・資料室(フィルムライブラリ1)・LL教室・研修室・スタジオ・調整室の施設に視聴覚器機や教材が整備されている。

 

本のある市民の広場

 

新図書館の特色は、開かれた図書館として、入りやすく、明るく、活気があって、一日いても飽きない…本のある市民の広場的役割りを果たしていることである。

最大の魅力は、住民の読書の多様化に対応して、利用者が自由に手に取って選べる貸し出し用の本を一挙に十万冊に増やし、公開したことである。分類や配列も、今までの図書館的概念を破って、利用者になじみのある項目ごとに分類配列してあり、案内サイン等もコーナーごとにカラーで区分してあり一目で探せるようになっている。

蔵書の内容も、中央の出版のミニ版でなく、地方の時代にふさわしく、郷土の出版物を中心に地方で出版された書店にない本までも広く収集している。

更に、調査研究の機能を充実させるため、参考図書一万冊と郷土資料五千冊を参考調査で公開し、個人机や研究個室も完備している。

障害者の利用にも配慮し、館内外は一切の段差をなくし、点字板案内や対面朗読室や拡大読書機等も充実させている。

 

 

 


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