教育福島0066号(1981年(S56)11月)-028page

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「明るい家庭づくり」に

町ぐるみの取り組み

−県北教育事務所−

家庭づくり”にむかって努力し、心身ともに健全な青少年の育成につとめます」

 

「わたしたちは、“愛情と秩序のある明るい家庭づくり”にむかって努力し、心身ともに健全な青少年の育成につとめます」

「わたしたちは、近隣・地域の連帯をより強め、互いに声をかけ……」

これは、十月に行われた第一回飯野町青少年健全育成町民大会における大会宣言の一部です。

青少年の非行が、増加の傾向をたどり、低年齢化・凶暴化、地方都市への拡散化現象などが、憂慮されている今日、ここ飯野町では、その対策に町ぐるみで真剣に取り組んでいます。

この町の運動の大きな特徴は、青少年の非行発生の要因は、なんといっても家庭生活のあり方に起因していることに着目し、本年度の推進目標に「家庭再建」を取り上げ、全町民がそれぞれの立場から参加できる体制づくりを図ったことにあります。

「教育の基本は家庭にあり……」という理念のもとに、六月、第一回推進会議が開催され、町長さんを中心として、町内関係機関・団体及び全町民の総力を結集して積極的に推進することが確認されました。

まず、次のような明るい家庭づくりスローガン一を決定し、ポスターにして全家庭に配布し、望ましい家庭のあり方がよびかけられました。

○家族どうしがあたたかい思いやりをもちましょう。

○家族どうしの礼儀をきちんとしましょう。

○家族ひとりひとりがよいしつけを身につけましょう。

○家族そろって心もからだも健全にしましょう。 (以下略)

このスローガンのもとに、この明るい家庭づくりは公民館事業としても位置づけられ、婦人学級、高齢者学級、家庭教育学級などで、次のようなテーマで熱心に討議されました。

○家庭教育のスタートになる幼児教育のすすめ方

○若い世代の理解に立った家庭生活の向上に努力する高齢者の生き方

○健全な家庭づくりに努める地域婦人のあり方

また、毎月発行される町広報誌には「家庭教育コーナー」がもうけられ、家庭教育の現状と課題について、具体例を解説しながら、「家庭再考」を強くよびかけています。すでに掲載されたものを取り上げてみますと、

○家庭のもつ二つの機能(憩いの揚としつけの場)

○子供の人格形成に及ぼす親の態度

○子供の目に訴え、親の行動によって子供を導こう

など、いずれも家庭は一番基本となる教育の場である≠アとが強調され、各家庭で、家庭のもつ本来的な機能を十分はたすよう訴えています。

一方、町内小中学生全員による「家庭生活を考える」作文の募集が行われました。これは、作文を書くことによって、子供たちが、自分の家庭を見直し、その中で自分はどうすればよいかについて考えさせることをねらったもので、いわば子供の側からの「家庭再考」といえましょう。

家族会議の様子、家族の思いやり、親子のあいさつ、家庭の日の親子の会話など、小学生のことばで表現された温かい健全な家庭の姿、そして母の態度に共鳴しながら、自分の生き方を見つめていく中学生の自立への歩みなど、すばらしい作文が生まれました。

これらの作文は、子供同士の共鳴はもちろんのこと、子供のすなおな目を通して訴えられた明るい家庭への抱負に、大人の一人一人が目を開かれたことに大きな意義があったようです。

このようにして町ぐるみで青少年健全育成に取り組みだした飯野町にとっては、今年は、明年度への成果が期待できる意義ある第一歩であったといえましょう。

 

健全な育成を願い

健全な育成を願い

 

 

 


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