教育福島0066号(1981年(S56)11月)-033page

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ている。 (図2参照)

例えばA(収益)勘定からB(損益)勘定へ振り替える仕訳をしてみよう。グラスにジュースを入れA勘定の貸方に示す。次に空のグラスを取り出してB勘定の貸方に示す。A勘定のグラスを移動してB勘定の空のグラスへジュースを注ぐ。A勘定のグラスが空になったことを見ぜながら、同量のジュースがB勘定のグラスに移ったことを強調する。A勘定の残高がジュースであり、ジュースを注ぐという動作が振替仕訳で、この動作によりB勘定へ残高金額が移っていく。ジュースの入れ替えが行われると、A勘定のグラスが空になるのと同様に、勘定振り替えが行われるとA勘定の残高は0となる。その分B勘定のグラスはジュースで満たされるから、B勘定の貸方に新たに金額が書き入れられることになる。このようにジュースの容器入れ替えを勘定振り替えに利用することで決算振替仕訳と勘定記入とが理解しやすく説明できたのである。

 

図1

表2 貸借対照表導入法の指導例

 

表2 貸借対照表導入法の指導例

表2 貸借対照表導入法の指導例

 

図2

決算にあたり、A(収益)勘定の残高詳500,000を〕B(損益)勘定へ振り替えた。

1)振替前

2)振替仕訳

 

2)振替仕訳

3)振替後

 

3)振替後

五 自己紹介と授業感想文

 

五 自己紹介と授業感想文

簿記会計Iに限らず私が担当する授業では、そのクラスの生徒を理解するために最初の授業時間をさいて全員の生徒に自己紹介をさせている。

また、学期に二、三回授業の感想文を書かせている。これらを読むと自分では気がつかない授業の欠点がわかりその改善に役立つ。感想とともに授業に対しての要望も一言ずつ書かぜているが、これらを生徒各人の成績と比較できる一覧表にまとめてみるとそこからは多くの情報を読み取ることができる。落ちこぼれそうな生徒が「僕にも理解できるよう教えて欲しい」「もっと親切な指導をして欲しい」と訴えているのがわかる。生徒たちが毎時間どのような気持ちで授業を受けているのかを理解することができる。一人一人の個性を尊重しながら、どの生徒にも目を配り、すべての生徒が生き生きと参加できる授業を展開したいものであるが自己紹介、授業感想文はそのための重要な資料となっている。

六 おわりに

高校進学率が上昇したこともあり、商業教育の基礎科目でつまづいて履習が困難になる生徒もみられる。

簿記会計Iでつまずいたら三年間の商業教育は灰色になってしまうであろう。簿記会計Iを担当する教師の責任の重さを痛感する。これからも教材研究を継続し「誰にでもわかる授業」「みんなが楽しく学べる授業」を実践していきたい。

 

 

 


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