教育福島0066号(1981年(S56)11月)-034page

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教育センターから

 

道徳講座の紹介

 

一 はじめに

 

今回の教育課程の基準の改訂に際して、「人間性豊かな児童生徒の育成を図ること」が強調されている。このことは、とりもなおさず、学校における道徳教育の一層の充実を意味するものであり、道徳教育並びに道徳の時間に寄せる期待は大きい。

当教育センターにおける「小・中学校道徳講座」においても、その趣旨を受けて研修内容の充実に努めている。

この講座においては、道徳教育の基礎理論及び効果的な指導法について研修を深め、その識見と指導力を高めていくことをねらいとしている。

講座内容は、県教育委員会の指導の重点を基本的に踏まえ、特に学校教育全体で行われる道徳的実践の指導のあり方、及び道徳の時間における道徳的実践力の育成にかかわる内容に焦点を当て、本県小・中学校の道徳教育の改善・充実を図ることを目的とした講座である。

 

二 講座の内容

 

二 講座の内容

 

昭和五十六年度の道徳講座は、小学校(四十名)、中学校(三十名)の二次研修である。この二次研修とは、各校における道徳主任等を対象とし、各校の道徳教育の推進を図る上から設けられている講座である。

この講座では、道徳教育の本質から効果的な指導法のあり方まで幅広く取り入れ、研修方法も一方的な講義に偏ることなく、研究協議・演習と多様な組み合わぜにより研修効果をあげている。講師及び指導助言者には研修の先生がたの要望も十分にくみとり、中央から大学教授・実践的研究家、更に県内からは、学校で直接、道徳の授業にたずさわっている先生の御協力を得、先生がたに満足していただける講座とするよう心がけている。講座の内容・日程は、表のとおりである。

小学校道徳講座は、今年度は七月に実施しているので、その状況とあわせて、主な講座内容を紹介する。

〈講義〉

「道徳性の発達」

筑波大学教授 井上治郎先生

道徳講座の開設は、昭和五十四年度であり、専門研修にふさわしいテーマを選び、講師として井上先生をお迎えして、御指導をいただき、多くの先生がたに好評を博している。

特に、先生は道徳教育を進めるに当たって、もっとも基本となる道徳性について、数多くの事例を通して、わかりやすく御指導され、その発達過程における課題を著名な学者の研究例を引用し、数多くの示唆を与えた。

講義の内容は次のとおりである。

(一)道徳性とは

(二)発達と発達段階論

(三)代表的な道徳性の発達理論

(四)コールバークの道徳授業論

(五)道徳性の発達を促す道徳教育の

構想と道徳学習

小学校道徳講座の結びとして、道徳の授業を決してむずかしいものと考えないでほしい、と述べ、「人間の人間らしいよさをできるだけ育てようとする考え方に立って、教師自身が子供とともに人間を学ぼうとする姿勢にたちもどることこそ基本となろう」と強調し、多くの先生がたに道徳教育に対する目を開かせた。

 

 

 


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