教育福島0066号(1981年(S56)11月)-035page
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〈講義〉
「子供の心にせまる道徳授業の深め方」
千葉大学教育学部附属小学校
副校長 飯田 稔先生
この講義では、広く道徳教育及び道徳の授業のあり方について、自らの実践例と体験をもとに究明された。
変転してやまない現代の子供をとりまく環境と道徳教育について、道徳教育の目ざすものの本質を述べ、更に、道徳の授業の問題点と考え方について触れ、子供の心にせまる道徳の授業はどうあればよいかと発展なされた。
講義の内容は次のとおりである。
(一) 現代の子供たちをめぐって
(二) 子供たちから見た教師像
(三) 道徳教育の目ざすもの
(四) 道徳の学習構造
(五) 教材の検討
(六) 指導過程の問題点
(七) 授業改善の方向
小学校道徳講座の中で、知・徳・体の人間形成が叫ばれている今日、道徳教育の中核となる道徳の時間の望ましい指導のあり方を求めることは急務であると述べ、特に子供自身に自分の生き方を自分で切り開いていかせる立場で、自分をみつめる目、相手をおしはかる目、人間を尊重する目をじっくり時間をかけて育てたいものと結び、感銘を与えた。
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熱心な受講風景
〈研究協議〉
道徳教育全体計画の再検討
この研究協議では、各自、持参した全体計画をもとに、改善のための視点を定め、グループ別に検討し、自校にみられる問題点を明らかにして、改善のための手がかりを得ようとするものである。
小学校道徳講座においては、真剣な討議が交わされ、他校の全体計画と比較しながら、持参した計画がどこの学校にもあてはまるような一般的、抽象的なものであることに気づき、独自性のあるものに全校あげて、取り組んでみようとする声も聞かれた。
〈講義・演習〉
「道徳の時間における資料の作成と活用」
この講義・演習では、資料の作り方、生かし方についての基本的なことについて研修し、更に、演習では設定条件を定め、資料作成を身近な題材に求め自作資料としてまとめる。それをもとに討議を加え、ねらいにせまっていこうとするものである。
小学校道徳講座では、次のような設定条件を定め、演習を試みた。
(一) 対象学年 第一学年
(二) 指導内容……六
(三) 本時のねらい (省略)
(四) 主題設定の理由(省略)
その結果、それぞれの先生がたの持ち味を生かした題材が、身近なところにあることを改めて認識しあい、終始なごやかなうちに、大きな成果をあげた。
〈研究協議〉
「内面化を図る道徳の授業」
この研究協議では、上記のテーマにせまるために、こんな点について、このような工夫をしてみたという、授業の実践例を各自持参し、望ましい授業のあり方を協議により深めていく。実践例では、例年、子供の本心を引き出し、ねらいにせまる発問の工夫、望ましい資料の選択と活用などがとりあげられている。
小学校道徳講座においては、研修の先生がたのよりよい授業のあり方を求めようとする意欲と、司会の先生の適切な運営、指導助言者板垣先生の実践を通しての御指導により、最終日を飾るにふさわしいものとなった。
三 おわりに
以上は講座の概要であるが、講師、指導助言の先生がたの御協力と研修の先生がたの研修意欲に支えられ、所期の目的を達成している。研修の成果が各学校に還元され、各学校における道徳教育の充実に寄与できれば幸いである。
最後に、小学校道徳講座に参加された先生がたの反省記録をもとに感想を紹介し、結びとする。
○ どの講座内容も充実しており、各学校の持つ問題点に焦点を当て、解決への方向を適切に示してくれた。二学期からの指導にいかしたい。
(福島市立杉妻小学校 熊耳昭寿)
○ この四日間の初めの日と終わりの日の自分を比べると、自分の意識は変わった。 「私にもやれそうだ」と自信がわく。特に講義では知的興奮を覚え、研究協議・演習では実践への意欲がみなぎる。子供とともに歩む教師へと……。
(大越町立牧野小学校 藤田千賀子)
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