教育福島0067号(1981年(S56)12月)-019page
三 文化財パトロール
県内に所在する文化財の管理状況を常時把握し、文化財保護に万全を期すため、民間有識者十九名を文化財保護指導委員に委嘱し、パトロール計画に基づいて、年二回の文化財の巡視を行っている。
文化財保護指導委員は、指定の建造物、彫刻、絵馬、史跡、名勝、天然記念物及び重要遺跡など六百十一か所を定期的に巡視し、その結果を県教育事務所長に報告している。
また、市町村教育委員会の協力のもとに、文化財の所有者その他の関係者に文化財の保護に関する指導助言をするとともに、地域住民に対し、文化財保護思想について普及活動を行っている。現在の文化財保護指導委員は表13のとおりである。
四 文化財保護指導者講習会
文化財に関する知識の普及と愛護精神の高揚を図ることを目的として、例年文化財保護指導者講習会を開催している。本年は、七月二十九日、三十日の両日、郡山市視聴覚センターで開催され、参加者は百六十七名にのぼった。三名の講師による講義、二つの分科会での研究協議は、いずれも現実的問題を含み熱心に質疑、討議が行われた。第二日の午後は現地研修として、旧福島県尋常中学校本館、高倉人形などをはじめとする近在の文化財を見学し、有意義な研修であった。内容は次のとおりである。
○講義及び講師
「福島県の御正体−鏡像と懸仏について−」
福島大学教授 菊池 貴晴
「東北における官衙・寺院跡の調査保護状況」
国立歴史民俗博物館助教授 阿部 義平
表12 福島県文化財保護審議会委員
表13 昭和56年度文化財保護指導委員