教育福島0067号(1981年(S56)12月)-037page

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が修得できるようにする。

4) 指導形態や指導方法についても、新しい工夫をする。

「現代社会」の指導内容と中学校社会科及び高等学校社会科の選択科目との関連は、おおむね次の図のように考えられる。

このように考えると、「現代社会」は、現行の「政治・経済」と「倫理・社会」を単に融合したものでも、これに地理や歴史の内容を付け加えたものでもないことは明らかである。生徒が今後の人生を生きていく上で、自ら考え、判断し、自分自身の人生と社会生活を充実したものにすることのできる力を育てることに重点を置き、そのために必要な社会と人間に関する基本的な問題について学ばせようとする、全く新しい科目なのである。

 

(二) 年間指導計画作成の基本的な考え方

 

(二) 年間指導計画作成の基本的な考え方

年間指導計画を作成する基本は「現代社会」の全体像を構想することである。その際、「高等学校学習指導要領解説社会編」(以下「解説」と略記する)に述べられている次のことに留意することが肝要である。

「どのような指導計画を作成するにしても、その前提として、各学校において、生徒の実態に応じてこの科目をどのように具体化するかという基本的な考え方を確立しておく必要がある。換言すれば、指導の順序をどうするかというような操作をまず考えるのではなく、現代に生きる生徒にとって基本的な問題をどう指導していくか、それを生徒の人生にどうかかわり合わせるかという基本的な考え方を明確にして指導に当たることが求められる。」

また、次の事がらにも配慮することが望まれる。

1) 「現代社会」の性格を踏まえる。

2) 各学校の教育目標のもとに位置つける。

3) 生徒の実態に即して計画する。いずれの教科・科目についても生徒の実態に即して指導することが求められていることは当然であるが、「現代社会」は、その性格から、特にこのことが要求される。

生徒の実態をとらえる観点としては次のようなことが考えられる。

ア 生徒の興味・関心の傾向とその特徴

イ 生徒の経験の内容・程度

ウ 地理的・歴史的・社会的意識

エ 中学校までの社会科学習の成果

4) 科目の位置づけを明確にする。

5) 教科書の内容を検討する。

生徒の実態とのかかわりから、教科書即教材とはなりにくい。教科書の記述内容を手がかりにして、生徒がそれぞれの基本的問題について理解し、考え、これらの問題について見方、考え方、学び方を身につけていくところに意味がある。このような考え方に立って、年間指導計画を作成する際に、教科書との関連を考える必要がある。

(三) 指導内容の構成

学習指導要領の小項目に付されている括弧書きは、小項目に示された内容を取り扱う観点を示すものであり、これらの項目は基本的問題としてすべての生徒に学習させる内容である。更に小項目に「など」を付し、これ以外のものもあり得ることを示しているが、指導に当たって観点をいたずらに多くすることは望ましくない。

1) 指導内容を構成する場合に踏まえるべき事項

ア 「解説」を参考にする。

イ それぞれの内容に関連する諸学問の通説に立つ。主要な学説が幾つかあるものについては、それぞれの視点を踏まえる。

ウ 教科書を参照する。

エ 他の項目との関連を検討する。

オ 中学校までの学習内容、学び方との関連を検討する。

カ 選択科目との関連を検討する。

キ 社会科の教師全員の協力で進める。

2) 「ねらい」を定める。

ア 指導内容について、生徒にとっての意味を確認する。

イ 到達目標を定める。

3) 教材を選定する。

4) 資料を選定する。

5) 指導方法を検討する。

なお、括弧書きのない小項目については、特に具体的な観点を示していないのであるから、様々な取り扱いの工夫をすることが求められる。

 

四 おわりに

 

「現代社会」新設の背景として、高等学校への進学率の上昇に伴う、高校生の能力・適性や興味・関心などの多様化があげられている。更に、これまでの「科目あって教科なし」といわれる社会科の現状や知識中心の社会科教育に対する反省も見逃すことはできない。とすれば、教師一人一人が生徒の実態を的確に把握し、自らのこれまでの社会科指導の在り方を十分見直してみる必要があろう。その上に立って、教師がどのように創意工夫して指導するかが、「現代社会」の成否の鍵であると思われる。

 

 

 


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