教育福島0067号(1981年(S56)12月)-036page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育センターから

 

「現代社会」指導の在り方を求めて

 

一 はじめに

 

高等学校学習指導要領の改訂に伴って、昭和五十七年度から社会科に「現代社会」が新設される。これに対応して、当教育センターの高等学校社会講座は、これまで「地理」「歴史」「政治・経済」「倫理・社会」の順序で実施してきたが、昭和五十六年度と五十七年度では「現代社会」講座を開講する。また各学校での「現代社会」の実践研究の踏み台になればと願って「研究資料『現代社会』の研究」を九月に刊行し、県内高等学校に配付した。

本稿では、当教育センターの高等学校社会(現代社会)講座の内容を紹介するとともに、各学校で早急に取り組まねばならない「現代社会」の年間指導計画の作成について述べてみる。それによって、「現代社会」指導の在り方について少しでも手がかりを見いだしていただければ幸いである。

 

二 高等学校社会(現代社会)講座

 

今年度の「現代社会」講座の内容は次のように計画した。

第一日目は、従来から生徒指導に関する講義を組んでいるが、今年度は若者文化の特徴という観点から高校生を理解し、生徒指導の在り方を考えようとする「現代社会」の内容を加味したものとなっている。

第二日目の午前は、当教育センターが刊行した「研究資料『現代社会』の研究」を用いて、年間指導計画の作成と授業の展開について具体的な講義がある。午後は、内容(1)「現代社会の基本的な問題」を指導する場合の切り込み方の視点について講義がある。

第三日目の午前は、内容(2)「現代社会と人間の生き方」をどう展開したらよいかについて講義がある。午後は、県教育委員会指定の研究校である福島高等学校の「現代社会」の研究発表大会に全員参加する。この研究は、生徒の問題意識や中学校までの社会科学習の成果を調査し、その実態に即して年間指導計画を作成して授業の展開を考えようとするものである。このような観点からの研究は、全国でもまれな、しかも「現代社会」の趣旨にのっとったもので、その成果が期待される。

第四日目は、前日までの講義や福島高等学校の研究発表をもとに「現代社会」指導の在り方について研究協議する。

 

三 「現代社会」年間指導計画の作成

 

三 「現代社会」年間指導計画の作成

 

(一) 「現代社会」の性格

「現代社会」の年間指導計画を作成するためには、その性格を十分に把握しておく必要がある。この科目の性格については、教育課程審議会の「社会科小委員会」のまとめに次のように示されている。

1) 高等学校の社会科学習の総合的基盤となり、更に高学年の社会科の選択科目への発展の基礎となるようにこの科目のねらいと基本的性格を考える。

2) その際、小・中学校と同等学校社会科を一貫するねらいである良識ある公民としての基礎的教養を高め、積極的に自己探究を深めることを目指し、同時に自然愛、人間愛を豊かに育て、日本文化についての認識と国際社会に生きる現代の日本人としての在り方を考えさせることに十分留意する。

3) したがって、倫理的価値に関する諸問題や現代社会の政治、経済に関する内容ばかりでなく、人間と環境、現代社会と科学技術、日本の文化と伝統などにかかわる内容を効果的に取り入れる工夫をし、総合的な視野に立って社会についての考え方や学び方の基礎

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。