教育福島0067号(1981年(S56)12月)-042page
ふるさと探訪
県指定重要文化財(工芸品)
万蔵院御正体 一面
銅造十一面観音懸仏 一面
径 二六・八センチメートル、像高一二・五センチメートル
銅製鏡板の周囲に覆輪をつけ、さらにかまぼこ形の界圏で内区と外区に分ける。内区には中央からやや下部に半肉彫りで、台座とともに一鋳の十一面観音坐像を釘でとめる。頂上仏はじめ化仏や衣文等の彫りは浅い。その左右に花瓶を配置するが、天蓋は今は失われている。
外区は三個、二個と交互に鋲をうち両肩に獅噛座を具える宝珠形の鏡台をつける。
裏板は杉材で、万治二年己亥二月三日に修理されているが、その墨書銘には「嘉応二年丁卯師馳十八日 信心大施主清元奥州宇田郷山上村 白山大権現 別当 満蔵院秀定」とあった由が記されている。
だが、嘉応二年(一一七〇)は平安末期、干支も庚寅である。形式構造から見ても、嘉暦二年(一三二七)のまちがいであることは明らかである。現在のところ県内では在銘の御正体中最も古く貴重である。
所在地 相馬市山上字遠藤153
所有者 万蔵院