教育福島0068号(1982年(S57)01月)-016page

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研究論文特選

国語

 

照応関係の整った文を書く力を高めるための指導

 

二本松市立二本松南小学校教諭

加藤隆

 

一 主題設定の理由

 

昨年度行った研究「語い力を高めるための指導」の結果、語い力が表現・理解の基礎能力として生きて働くためには、語句指導だけでは不十分であり、語句を含む一つの文をどう指導するかということに目を向けなければならないことが分かった。また、児童の実態調査からも、文の形や構成指導など、いわゆる基礎的な事柄に対するきめ細かな指導に力を入れなければならないことが分かった。以上の二点から本主題を設定した。

 

二 研究仮設

 

表現しようとする内容にあった文型を用いて、照応関係の整った文を書く力を高めるためには、表現内容による文のつなぎ方、文の結び方の違いを理解さぜなければならない。そのために建さまざまな表現意図を持つ文型の特質・意味・用法を確かにとらえさせるような学習を展開すればよい。

 

三 研究対象学年

第四学年  三十四名

 

四 実践 1

 

(一) 指導文型の選択

 

児童に学習させる文型については、様々な研究があり、中には「指導用文型」としてまとめられているものもある。しかし、それに対する問題点も多く指摘されている。そこで、児童に学習させる文型(指導文型)を、毎日の国語科学習と最も深いかかわりを持つ国語科教科書から主に選択することにした。そうすれば、単に文の形を理解させることのみにとどまらず、「確かな理解のため」という点からも効果的であろうと考えたからである。

(1) 指導文型の分類(表1)

国語科教科書から抜き出した文を、品詞及び意味的に四十二項目、百二十二種類に分類し、指導文型とした。

(2) 文型カード(資料略)

文型の何を、どうとらえるかについての基本的事柄を調べカード化した。

(3) 指導文型の単元配当(資料略)それぞれの文型を、どの単元で指導するのが適当かということを単元目標などから判断し、それぞれの単元に配当した。

 

(二) 基本的指導法

 

(1) 単元の展開段階

語句の文脈上の意味をとらえさせる指導とあわせて、その表現法から筆者(作者)の意図(気持ち)を読み取らせる。

(2) 単元の終末段階

文脈の特質、意味・用法を理解させたうえで、使用する能力をつけることをねらいとする。単元に配当された文型の中から、実態調査等で特に力を入れなければならない文型を選び、重点指導文型とした。指導のための時数は二時間を原則とした。

指導内容は、次のようなものとし実際に文を書く作業を多くとり入れる。

1) 接続語を含む文型は、他の接続語と入れかえて書きかえたり、比較させたりすることにより、意味用法を理解させる。また、接続助詞等を使って重文に書きかえる方法もとる。

2) 同じような表現意図を持つ他の文型と比較させることにより、正しく理解させる。

3) 同じ文型で異なった表現意図を表す文型と比較させ、正しく理解させる。

4) 文型の語句の両方を同時に使い一つの短文を作らせることにより使用になれさせる。特に、呼応関係(「たとえ〜しても」など五十五ほど選択した)についてはしっかり理解させ、使用能力をつけるための配慮をする。

 

(三) 単元別指導カードの作成

 

文型カードは一般的な文法内容を記入したものであり、そのままでは指導に役立たない。そこで、実際指導する場合の内容・方法をとらえ、単元ごとにカードに表した。 (図1)

 

 

 


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