教育福島0068号(1982年(S57)01月)-017page
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(四) 単元別学習プリント(図2)
学習が効率的に展開することと、書く場面を多くつくることをねらいとし「単元別指導カード」をもとに、児童が学習に使用する学習プリントを作成した。
内容は次のようなものである。
1) 語句の意味調べ(時数外)
2) 言葉あつめ(時数二分の一時間)
3) 文型学習(時数一時間)
・単文、重文構造。接続関係
・同文型で異なった意図を表す文型
・異文型で同じ意図を表す文型
・同じような意味を表す文型
・主述関係 ○順序を表す文型
・到置法 ○敬語 ○能受動態
・文の照応 ○陳述の副詞
・呼応関係 ○ダッシュ
・イントネーション ○プロミネンス ○アスペクト
4) 文つくり(時数二分の一時間)
五 実践 2 検証授業
(一) 展開時における文型指導(略)
(二) 終末時における文型指導
1) 授業案(略)
2) 授業記録(図3)
3) 授業の反省(一部)
・文型の意味・接続関係など分かっていながら適切な言葉で表すことができず混乱する場面もみられた。難しい用語をどう与えるか検討する必要がある。
・接続関係においては、添加と順接の区別がよくできなかった。
・単文を重文に書きかえることはよくできていた。
・筆者の考えを表す「〜でしょうか」の理解に苦労した。
六 変容調査
(1) 調査内容
1) 文の接続関係を理解し、正しい文が書けるか。
2) 表現意図にそった文末表現ができるか。
3) 文の誤りを指摘したり、文を推敲したりできるか。
(2) 結果(一部)
(3) 考察(一部)
調査1)2)3)のいずれにおいても実践対象学級の正答率が他の学級の正答率を上回る結果となった。特に3)の調査においてはみるべきものがあった。このことから、前述した様な学習を展開すれば文章に対する感覚を鋭くすることができるものと思われる。
七 研究のまとめと今後の問題
(一) 研究のまとめ
表現しようとする内容にあった文型で、正しい文を書く力を高めるためには、まず、児童にどんなとき、どんな言葉で、どんな文のつなぎ方、結び方にすればよいかを理解させることが大切であり、さらにそれを駆使できるようにしなければならない。そのためには、さまざまな意図を持つ文型の、意味、特質、用法を確かにとらえさせたうえで、書く活動を多くとり入れた学習をさせることが効果的である。
1) 指導文型の選択
児童に学習させる文型は、使用している国語教科書をもとに選択するのが効果的である。教科書で経験した文型であれば、文章理解の抵抗が少なくなるばかりでなく、正しい読解という点からも有効である。
2) 単元別指導カード
教師が学年の実態をふまえ、指導内容を具体的にとらえることができるという点から効果的であった。
3) 単元別学習プリント
学習プリントを作成し使用させることにより、指導を計画的、系統的に展開することができたし、指導の時間、方法に無駄がなくなった。ただ、児童がひとり学習を展開することのできるプリントという点からは説問や組み立てなどに問題が残った。
4) 読解学習における文型指導
その文がどのような表現法を用いて書かれているかに目を向けさせることは、語句の文脈上の意味を正しくとらえさせることと同様に大切なことである。そのことにより、文章を正しく、深く読むことが可能になってくるで
5) 終末段階の文型指導
文型の意味、特質を理解させるには語い指導がそうであるように、さまざまな文型と比較させ、その差異からとらえさせる方法が有効である。また、例えば接続助詞の「ので」を学習させる場合、「ので」を使った多くの例文を与え、そこで考えさせることによって、その意味を理解させるというふうに、使用例から特質等をとらえさせるのが効果的である。重文◆単文の書きかえを多くさせることは、書く力をつけるためにも有効である。
6) 短文作り
一つの語句を使用しての短文作りと違い、かなりの抵抗がみられた。しかし、誤りを訂正し書き直すことのくりかえしから、しだいに書く力の基礎が養われてくるものと思われる。
この指導法は、表現力を高めるための速効的な指導であるとはいえない。しかし、文の推敲力テストの結果からも分かるように、児童が一つの文というものに対し、今までと違った目でとらえることができるようになったことは、大きな成果としてとらえたい。
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