教育福島0068号(1982年(S57)01月)-024page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

研究論文特選

数学

 

主体的学習態度を育成するために

 

中島村立中島中学校教諭

星春夫

 

一 研究の趣旨

 

本研究は五十五年度からの継続研究であり、第二年次に当たる。一年目は授業の終わりに課題を提示し、課題追究学習を組織したが本年度は「小節」ごとにまとめて「課題一覧」として提示することにより課題の関連や課題の良し悪しを検討しやすいようにした。

 

二 主題設定の理由

 

(一) 地域性を考慮して

1) 農村地域特有とも考えられる学習意識の低調さを「課題解決学習」を計画して意識の高揚を図る。

2) 消極的で発表力に欠ける態度を「予習的課題」を解決させることにより自信を持って授業に参加できる態度を養う。

(二) 学習適応性検査の結果から

1) 検査の結果、学習意欲や学習技術の面で好ましくない傾向に有意差がみられる。また、検査項目の評定がすべて「2の上位」以上であることは、「好ましい学習刺激」で更に向上すると考えられる。 (資料1)

(三) 指導法の改善をねらって

1)主体的な学習活動をさせるには一人一人の生徒の力を学習場面に生かすことが基盤と考えられる。この基盤の上に立って主体的学習活動が育成されるが、問題はその基盤を育てることが大変困難なことである。多人数の学級では不可能とさえ思えて見切発車の授業になりかねない。しかし、この学力差、能力差、学習に対する心がまえの差などの個人差をいかに授業で生かすかという問題を考えると必然的に授業の改善をせまられることになる。

(四) 昨年度の実践反省から

1) 知能偏差値と課題解決能力には強い相関関係がみられる。

2) 課題意識が高揚し解決方法に慣れてくると、知能が低くてもある程度適切に課題を解決することができる。

(知能と課題解決能力の相関図は略)

3) 1)、2)の内容を踏まえて本年度も課題把握→課題解決→授業で追究→新しい課題の発見、という学習サイクルを継続させることにより、主体的な学習態度の育成を試みることにした。

 

三 研究計画(省略)

 

四 研究方法ならびに内容

 

(一) 主体的学習態度について

1) 教師のみが主体的学習態度を上段にかまえても具体的にどういう態度なのか生徒には漠然としていて一体化した研究にならない。そこで、生徒サイドの「主体性」の考え方を「学習の主体性の発達段階」のアンケートにより把握し、更に生徒一人一人が、日常の「学習活動」が、「主体性の発達段階」のどの辺に位置するのかを自己診断できるように工夫した。(アンケートの結果は省略)

(二) 課題学習に関する基本的な考え方

1) 数学科では「事象を数理的にとらえ、統合的、発展的に……」という目標がある。事象を数理的にとらえるということは、事象の考察に際して直感と論理を互いに表裏一体として用いることによって展開されていく学習過程である。 (直感が論理を生みだし論理が直感を裏づけ更に高次に発展されていく過程である。)このことが課題場面の重要なポイントである。既知概念や先行経験で得ている知識で新しい教材(学習内容)に接したときに生

 

資料1 AAIテスト結果 五段階プロフィール

(学年別比較)(S.56.5実施)

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。