教育福島0070号(1982年(S57)04月)-032page

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わたしの研究実践

 

幼児一人一人が自己充実を図るための指導

 

下郷町立下郷幼稚園教諭

 

児山栄子

 

一 研究に当たって

 

幼児は自分の心の内にあるものをイメージ化し、様々な方法を用いて表現しようとする。幼児のこうした表現は自然に起きるきわめて素朴な未分化な活動であるから、結果を重んじるのではなく活動そのものを楽しませ、内的な欲求を十分満足させて自己充実できるようにすることが大切である。

つまり、自由な表現活動を通して思う存分楽しませ、表現の喜びを味わわせるとともに新たなものを作り出す楽しみや、やりとげた満足感・充実感を味わわせることである。こうした活動は、どの幼児も好んで取り組むはずのものであるが、幼児の興味・関心や欲求、発達段階が無視されたり、やる気を起こさせる環境などが整備されないままに、教師から一方的な指導によって活動させられるということが多かったのではないかと反省した。

そこで、幼児が自由に打ち込み自己充実するには、幼児をどのようにとらえ、どのように環境を設定し活動を促せばよいか、ということについて研究をすすめることにした。

 

二 研究究容

 

(一) 幼児の発達の姿をどうとらえるか

1) かいたり、作ったりしている時の幼児の姿(表情・つぶやき・行動)から何に興味を示し、どんな活動をしょうとしているかをとらえる。

2) 活動に取り組む様子から、造形的な技能や感受性などの程度を把握する。

3) 実態調査(園、家庭における造形活動)を行い手掛かりとする。

(二)、自己充実を目指す指導法はどうあればよいか。

1) 幼児が自ら進んで活動に取り組めるような環境を用意する。

2) 幼児が自ら進んで活動に取り組める指導のあり方を考える。

 

三 研究の実践

 

(一) 幼児の発達の姿のとらえ方

幼児とともに活動しながら、行動の奥に潜む欲求をよみとるために、行動記録をとり継続的に観察する。

抽出児の実態をよりょく理解するために「行動の特徴」のほかにその子の「からだ」「こころ」「あたま」「なかま」の四点から日常生活をみていくことにした。(資料1)

また、造形活動の観察の視点を絵画領域と製作領域に分け、次の五点におさえて考察することにした

1) 導入はどうであったか

2) 取り組み方はどうか

3) かき方、作り方はどうか

4) 他の幼児とのふれ合いはどうか

5) 材料の使い方はどうか(資料2)

(二) 実態調査から

・園生活における自由遊びの中に見られる「かいたり、作ったり」の活動の傾向を四月〜六月(三か月間)にわたって観察した結果、特に一年保育児や年少児は園生活に慣れていないため、不安定な状態で毎日を過ごしており、自分の席から離れて遊ぶことが少ない。男児は粘土遊び、女児は絵をかいたり折り紙遊びをしているという傾向が見

 

資料1 抽出児の実態

 

 

 

 


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