教育福島0070号(1982年(S57)04月)-033page
られた。
年長児(二年保育)は、自分の席を離れて遊んでいることが多く、砂、ブロック、積木、粘土、折り紙、絵かき遊びなど、いろいろな遊びがみられるが、それらの活動はあまり長続きせず、一日の自由遊びの時間の中でいくつもの活動をしている。
・ 家庭生活の中でも、幼児は好んで「かいたり、作ったり」している。その内容は、テレビやマンガの影響によるものが多い。(アンケート調査の結果)
(三) 自己充実を目指す指導のあり方
幼児が生き生きと活動し、自己充実するには、それにふさわしい環境づくりが大切である。そこで次の四点に留意しながら、毎日の保育活動を実践してきた。
・ 園を取り巻く自然環境を活用し、生活環境を美化するよう心掛ける。
・ 幼児の興味や欲求、活動に合った材料や用具を豊富に偏りなく用意する。
・ かきたい時、作りたい時に自由に活動できるコーナーを常設しておき意欲を起こさせる。
・ 幼児が自由にのびのびと取り組める雰囲気をつくり、楽しく安定した気持ちが持てるようにする。
更に指導のあり方として、次の五点をおさえて指導に当たってきた。
・ 幼児と教師の心の結びつきを深め情緒の安定を図りながら指導をすすめる。
・ 日常生活の中で興味を持ったり、感動したりする経験を豊富に持たせる。
・ 教師の押しつけでなく、幼児から出た遊びを育てるような柔軟性のある指導をすすめる。
・ 自分で作ったもので遊べるようにして、総合的な遊びへ高め、目あてを持って活動できるようにする。
・ 造形領域における活動内容をあらい出し、素材や題材の選択は、季節感、地域性、時期などを考慮する。
四 研究のまとめ
「かいたり、作ったりする」直接の活動における指導については、夏季休業日を利用して実技研修を行うなど(講師を招聰)指導力の向上に努めながら研究実践をすすめてきた結果、資料2に見られるように、数か月の間に見せた幼児の発達の姿には目をみはるものがあった。
幼児一人一人が自己充実するためには、教師の意図するねらいや活動が幼児の興味・関心や欲求と一致することが大切である。また、かいたり、作ったりする活動が、活動そのものを楽しみ、自由にのびのびと表現する喜びに重点をおいて指導していかなければならない。この研究をより確かなものにするため、今後、更に実践を積み重ねていきたいと思っている。
資料2 T男の観察記録から(兄弟関係 姉1 住宅環境 農家(自宅)交友関係消極的で友達が少ない)
楽しいお家づくり(空箱で)