教育福島0071号(1982年(S57)06月)-014page

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実践紹介2)

 

桑折町立醸芳中学校

 

一人一人の実践力を高める指導

 

−生徒の自主的活動の場を通して−

 

一 はじめに

 

本校は、昭和五十六、五十七年度の二か年にわたり、文部省生徒指導研究推進校に指定された。

本校の教育目標は、個人の完成をめざし、心身ともに健康で、自主自立の精神に満ち、正しい判断力と旺盛な実行力を有する社会人としての資質を養うという理念のもとに、「英知」「活力」「気品」を身につけさせることを中核としている。生徒も自励目標を持ち、一人一人の能力に応じながら、学校のあらゆる活動の場で、望ましい行動を体験する・させるという生徒・教師一体の姿で努力している。

生徒指導は、生徒の人格全体に作用するものであることを前提として、自己指導の能力を育てることを目標にしており、我々教師にとっては、生徒の人格形成に具体的にかかわりを持つアプローチをどのようにするかが日常の中心課題である。生徒一人一人には、行動選択の自由を保障しながら実践意欲を高め、それぞれの体験を通して自己自身を理解させ、質の高い次の行動への内発的な動機づけをするという心理的原理を重視して日々努力しているところである。この実践の過程で特に問題視されることは、生徒自身が真に自ら発し、他に迷惑をかけないという行動のための判断力が十分でない生徒が多いという現実である。これをどれだけ高め得るかが本校教育の根本的な課題であるということを、全職員が強く意識しているところである。

一方、生徒指導の充実と徹底を期することができれば、一部生徒の非行を皆無にし、全員が生き生きと本来の教育活動に専念し、ゆとりある学習によって充実した体験ができ、学力が一層向上するであろうと期待し、この願いを一日も早く達成すべきことを念じて一人一人の生徒や集団にかかわる具体的な問題の解決を積み上げようと努力している。

研究テーマの設定では、何の実践力をどのように高め、望ましく変容させ得るかを大前提とし、生徒の自主的活動の場と機会の中から、自発的な行動として観察し、評価可能な側面を取り上げて指導の最適化を図り、生徒の人間的な高まりを期待しようと考えた。研究の推進に当たっては、これまでに進めてきた道徳的な実践力を身につけさせる指導法の研究をべースに、教育相談の機能を生かすことを前提にし、「学級・学年経営研究部」「生徒活動研究部」「学業指導研究部」の三部を構成し、生徒指導委員会を中核とする日常生活指導によって徹底を期することとした。

生徒の実践力を高めることは、教師が自分自身に対してもきびしくすることが必要であり、いろいろな施策をあれこれと考え、創意をめぐらし、根気強く指導する中で、教師の生きざまから生徒に学びとらせる働きが大切である。

学校教育の今日的課題である生徒指導、とりわけ、自らの正しい判断によって主体的に実践していくという行動力を身につけさせる指導に対し、全職員でどれだけの精魂をかたむけ、どれだけ果たし得るか、その努力の中で、やりがいを見つけ出そうと意気込んで研究実践を進めてきた。十一月二日に本発表を予定している。それまでにはなんとか適切な問題提起ができるようにしたいと考えている。

以下、中間発表会における報告書にもとづき、一年間の研究実践の一端を述べることとする。

 

二 研究実践の概要

 

(一) 学級・学年経営研究部

 

1) 到達目標

話し合い活動を通して、相互理解と信頼関係を醸成し、望ましい学級・学年づくりのために、積極的に参加することができる。

2) 目標設定の理由(省略)

3) 今年度の研究概要

ア 研究内容

望ましい学級づくりの指導の手だての研究

イ 実践事項と具体策(省略)

ウ 実践内容

(ア)短い学級の時間の活動

aねらい

朝と帰りの短学時の中で、生徒がより自主的に目的を持って活動できるようにする。

b方法

全学年、共通した方法で実施していく。

c実施状況(省略)

d活動状況

・時間になれば、司会者も、一般生徒も、自主的に短学時に取り組むようになってきた。

・活動内容によっては、時間が不足することもある。

・「一分間スピーチ」の発表者は内容のしっかりした原稿を準備するようになってきた。

それにつれて、聞く態度も良くなってきている。

e問題点と改善策

・朝の短学時と朝自習の実施の上で、時間的に無理なこともあるので、自習内容の工夫が必要である。

・「今月の歌」の声が小さい。音楽の授業などとも関連づけて、歌う技能などを高めたい。

 

 

 


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