教育福島0071号(1982年(S57)06月)-021page

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視覚、聴覚等の障害と随伴しており、一人一人障害の程度が多種多様である。運動機能障害からくる、日常生活の基本動作は、自立しておらず、また成長過程において、経験領域の狭さや養育態度等によって、二次的に心理的不適応(依存的・自己中心的、劣等感等)をもっている場合が多く見られる。発達の基盤となる感覚、運動機能の障害の状態の改善を図らなければ、日常生活の自立は、困難である。

個々の実態の把握では、医学的診断=(整形外科・小児科、精神科)知能検査発達検査等の諸検査、生育歴等の諸調査をふまえ日常生活基本動作、運動機能“(上肢、下肢、体幹)言語発達、情緒、社会性等の行動観察の結果を総合して発達段階をおさえ指導方針を決定することになる。

養護、訓練の指導は、肢体の筋緊張の弛綬、各関節の可動域の拡大、身体運動機能の分化と統合、筋力の強化を図り、座位から立位歩行、物を握る、離すなどの肢体の基本動作から始まり、さらに、食事動作、衣服の着脱等の生活基本動作に及び、さらに、集団活動に適応していくための生活応用動作や作業動作を含め、日常生活のさまざまな基本動作を習得させることが中心となる。それらの指導をとおして、社会生活適応力の向上や、意思伝達能力等の向上を図っていくのであるが特に運動機能の改善は、身辺の自立、学習活動への積極的な参加、社会的自立の基本的前提となる。一人一人の訓練目標は、この養護・訓練の時間を中心に、各教科、道徳、及び特別活動における指導と関連づけを慎重に検討し設定しなければならない。

指導にあたっては、障害に対する自己理解を深め、障害の克服意欲を高めるよう、具体的な目標を明確にして指導することが大切である。また、教職員と保護者とが共通理解の上に立った指導体制を組むことが、特に必要である。

 

三 日常生活指導上の配慮

 

日常生活への基本的習慣を身につけ集団生活への参加に必要な態度を養うことは、心身障害児にとっては、特に大切である。

食事、排泄、衣服の着脱、身辺の清潔、あいさつ等のしつけは、自分でやれるようにしつけなければならない。

食事を食べさせることからはじまり一人で食べられるようにする。食事動作一つとってみても、手づかみ→スプーン→はし。テーブルにすわる。身じたく、配膳、あとしまつ等、習得すべき動作の段階は多い。養護・訓練と密接に関連している。食事動作、作法にしても個々の発達段階に応じ自立できるよう指導することが大切である。年齢が進むにつれて健康安全、礼儀作法、整理整とん、時間を守る等の社会生活集団生活に必要な習慣が要求される。

一人一人の発達に応じた課題を具体的に示し、毎日の生活の中で反復くりかえすことによって徹底させなければならないので、日常生活の中で養護・訓練と関連づけて基本動作を身につけて自立できるようにすることが大切である。あいさつや礼儀作法は、集団生活に必要なことを教師と児童生徒、児童生徒相互のかかわりあいの中で、集団の一員としての自覚と態度を育てていくことが必要である。特に健康安全については、危険なものや、災害や歩行のしかたなど、体験学習を通して身につけさせることである。一人一人の養護・訓練の目標と訓練結果に基づき、日常生活動作の確立と習慣化を図ることが重要である。

 

四 特別活動での配慮

 

児童、生徒が障害を克服して参加できるような、望ましい集団活動の計画を作成する。障害児は、経験領域がせまく、社会経験も少ないので、自己の障害について、(一)正しく理解でき、(二)自分の特技など個性の伸長を図ることができるように指導することが大切である。軽度の者から重度障害児まで、教師と児童生徒、児童生徒同志のふれあいを大切に協力する態度や集団の一員として、障害を克服して、自主的に活動できるよう配慮する。

 

(一) 学級会・児童会・生徒会

 

◇学級会活動

身近な問題点を自主的に解決できるように指導する。係など障害に応じて役割分担し、友だちと協力して助けあって生活する態度を育てる。障害が重くても集団の一員として可能な範囲で参加する意欲を育てる。

◇児童会、生徒会

障害の状態や適性等十分生かされるようにし個性の伸長を図るようにする。児童会、生徒会の運営については委員会活動、奉仕活動、係活動等自主的に活動できるよう障害を克服し進んで活動する意欲を育てる。働く喜び、協力性責任感など社会生活のきまりを身につけさせる。

◇スポーツ大会、球技大会

自主的に運営していく態度や、協力し合う気持ちを育てる。障害を克服し自分の個性を伸長する。

 

(二) クラブ活動

 

児童生徒の興味、関心など自主的に参加する意欲を育てるようにする。能力や適性等が伸長されるようにする。重度重複障害児であっても適性に応じ参加させるよう配慮する。成就感を味わわせ自発性、自主的態度を育てるようにする。

 

(三) 学校行事

 

学校行事は、経験領域の拡大、社会性の向上、自立的生活態度の育成を図るとともに学校生活を楽しく充実させるよう配慮する。重度重複障害児も集団生活経験を拡めるよう配

 

 

 


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