教育福島0071号(1982年(S57)06月)-029page

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価、形成的評価などと同系列に位置つけるものではないかも知れない。しかし、自分で学習した結果、わかったことは何か、わからなかったことは何かの明確化こそが重要なものであり、自ら学ぶ学習への転換を図る目的で行ってきたものである。

自己評価は、学習活動◆自己評価◆学習活動というフィードバックのサイクルに位置づけられる。児童は、次の三点について学習過程において評価する。

・よくわかったことは何か

・よくわからなかったことは何か

・感想(ここがおもしろい、ふしぎだ、難しい、その他要望など)

(三) 指導の実際

1) 一単位時間における指導過程と評価の観点(資料3)

2) 単位時間の指導例(資料4)

 

資料3 一単位時間における基本指導過程と評価の観点

資料4 実践例

 

資料4 実践例

1.単元名 小数のわり算−小数でわる筆算のしかた

2.本時の目標 整数−小数や小数−小数を筆算でするには、除数が整数になるように被除数も同数倍しなければならないことがわかり、筆算の形で計算できる。

3.考察

 

3.考察

見通しを立てる段階では、わずか3名が除数のみ整数にすればよいと考えていたにすぎなかったが、各自の見通しに従って解決した結果、圧到的に3)の考えに変わってきた。除数のみ整数にするよさがわかってきたためだと思われる。

 

四 まとめ

 

(一) 実践の結果から

1) 実践により、当初みられた特異な学力構成がやや解消されてきた。個人別には、偏差値が前年度より低下した児童は一名で、それ以外は一〜十三の伸び率を示した。

2) アナライザーを活用した形成的評価活動は、つまずきの早期発見のための確かなフィードバック情報を得るものとして、大変有効なものであった。アナライザーに対する児童の感想を列挙すると、

・手を挙げなくとも自分の考えが伝えられる。

・自分で答えたこと(誤答も含めて)が、だれにもわからない。

・意見を言いやすい。

・自分が違うボタンを押すと、すぐ間違いだとわかる。

などのよさを認めている。

しかし、

・ボタンを押すのがめんどうだ。

という感想もあることから、学習者の疲労を考えた適度な利用、効果的な使用法について、再考してみる必要がある。

3) 自己評価を毎時間継続して書かせてきた結果、児童は絶えず「わかったことは何か」「わからなかったことは何か」を意識して授業に臨むようになってきた。

(二) 今後の課題

アナライザーを活用した形成的評価の実践は、つまずきの早期発見→補充→指導法の改善、検討の点で有益なものであった。しかし、つまずきに対しては即座に発見できても、それにどう対処していくかが問題である。わからない児童にはわかるように指導していけばよいわけだが、わからないことには様々な要因があり、実際の指導には困難を感じることが多かった。マイナス反応に対してどのように治療を加えていけばよいのか。単につまずきの発見にとどまることなく補充・深化指導のあり方に力を入れていきたいと考えている。

終わりに、「評価とは、児童にとって伸びようとする意欲を育てるためのはげましの手段であり、教師にとっては授業の診断と改善を図っていく根拠でなければならない」と考える。

 

 

 


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