教育福島0072号(1982年(S57)07月)-046page
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ふるさと探訪
県指定重要文化財(建造物)
旧正宗寺三匝堂 一棟
〔通称 さざえ堂〕
六律二層堂形式(初層一稜真々四、一四メートル)向拝付銅板葺き(もと木羽葺き)一棟。
「さざえ堂」の通称があり、高さ約一六・五メートル、初層真径約六・三メートルの六角形平面に面縁を付け、正面には唐破風の向揮を付している。正面から入ると右回りに螺旋状のスロープで登り、頂上の太鼓橋を越えると、降りの左冠りスロープとなって背面出口に通ずる。昇降を通じて建物内を三度廻ることになるところがら三匝堂の名がある。スロープの内側に沿って西国札所の三十三観音像が配られ、一度入ると巡礼を終えたことになるという。いわば江戸時代における庶民のための身近な巡礼の建物であった。
『新編会津風土記』には「円通三匝堂」と見え「寛政八年(一七九六)の造立」と記され、また会津若松の実相寺の僧郁堂の建立とされている。
内部のスロープの構成がそのまま外部に現わされて、一見すると塔のような形を示すが、両拝や軒持送りの部分を除けば、細部手法や仕口など必ずしも入念なものとは言い難い。しかし仏堂建築としては特異なもので、この種の遺構では規模も大きく、また、この種の建築の需要を生じた江戸後期の庶民文化の背景や、その求めに応じて、六本の心柱一再桟)と同数の隅柱(六角柱)を駆使して、二重らせんのスロープを具現させた棟梁の技術士の創意工夫は意義あるものというべきであろう。
なお内部の観音像は、明治初年の廃仏殿釈に際して、五宗寺の廃寺とともに撤去されたほか、木羽葺きであった屋根には、昭和十年銅板被覆が施され、さらに近年、銅板葺きに改められているが、形態土には大きな影響は与えていない。
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所在地 会津若松市一箕町大字八幡字弁天下一四〇四番地
所有者 飯盛正日
所有者の住所 会津若松市一箕町大字八幡字滝沢一五五番地
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