教育福島0073号(1982年(S57)08月)-047page
県指定重要文化財(工芸品)
馬場都々古別神社御正体 4面
銅造線刻薬師如来懸仏 1面
鏑造線刻十一面観音懸仏 1面
鋼造阿弥陀如来懸仏 1面
銅造薬師如来感仏 1面(本号では2面のみ紹介)
所在地 東白川郡棚倉町大字棚倉字馬場39番地
所有者 都々古別神社
銅造線刻薬師如来懸仏(面径 28.3センチメートル)
比較的厚い銅円板に鍍金して、その中央に毛彫りで右手施無畏印、左手に薬壷をもち、面貌は円く半眼、鼻大きく、耳柔豊かな薬師如来が二重円光を負い蓮華座に鉄坐するのを表現する。周縁には細味の覆輪を施し両肩に花形の紐銀座を付するなど、後世の懸仏の先駆的形態を示す。藤原末期から鎌倉初期の作と考えられる。
鋼造線刻十一面観音懸仏(面径 27.9センチメートル)
厚い銅円板に鍍金して鏡板を作りその中央やや右寄りに二重の火焔光背を負い、蓮華座に跣坐する十一面観音像を線刻する。
十一面観音は、蹴彫りで、頭上に頂上化仏など十面を表わすほか、首には理路をかけ、左手に蓮茎を挿入する水瓶をとり、右手は下げて数珠をかける姿を繊細華麗に表わす。両肩に懸垂するための簡単な小穴を穿つほか釣金具なく、古様を示すが、図柄が小さいので製作年代はやや下り、藤原末期から鎌倉初期であろう。