教育福島0075号(1982年(S57)10月)-009page
遅れがちな児童をなくすために、一人一人の能力差に応じた目標、内容、時間、方法などを組み入れた指導計画を作成しなければならないという考えに立ち、フィードバックする時間を特設した。(図2)
図2 フィードバックを取り入れた指導計画例(4年算数) 月 3時間(2時間+1)
1) 一時間の中でも、できるだけ練習時間を設けた。
2) 児童のレディネスと教材の難易度の違いに応じて、指導の目標等と練習時間を指導過程の適切有効な段階に設けた。
3) 一単元(題材)の中では、できれば十時間に一時間、最低でも二十時間に一時間設けた。
4) 二カ月間に一小単元の復習の時間を設けた。
5) つまずきを見つけそれに応じた指導を一人一人に徹底させるため、個別化を図りやすい学習形態を工夫した。
(二) 個別化を図る授業を研究実践する。
一斉指導における個別指導や、グルーブ指導における個別指導をより効率的に行らたあに、次のような指導法が有効であった。
(1) 反応類型別指導
計画・見通しの段階で、本時のねらいに到達するために、課題追究に役立つ考えや方法をもつ似ている者ごとにいくつかのグループ(類型のグループ)に分け、そのグループ別に課題を追究させた。
(2) つまずき類型別指導
これは、児童がつまずいている内容や、原因別にグループを組織して学習をすすめるものである。
つまり、つまずきの多様さに即応でき、「つまずいている内容を」「児童の能力に合わせた練習問題と指導法と時間で」を原則にした。(図3)
これら二つをふだんの授業に取り入れたり、つまずき類型別指導は、フィードバックするときの授業に活用したりした。
次に、つまずき類型別指導を活用したフィードバックする指導について述べる。
図3 学習指導案例
第6学年1組 国語科学習指導案 指揮者〇〇〇〇
1.題材名 熟語の使い方
2.本時のねらい(本時 1/3)
〇Aグループは熟語の構成のし方や意味がわかり、熟語を正しく使うことができるようにする。
〇Bグループは熟語の意味をとらえ、文の中で意味が通るように熟語を正しく使うことができるようにする。
〇Cグループは熟語の意味をとらえ、文の中で適切に熟語を使うことができるようにする。
3.研究主題との関連
〇ひとりひとりの学力の実態に応じてフィードバックの時間を特設し、基礎的事項定着を図る効果的指導法はどうすればよいか。
4.指導過程
1) 単元(題材)内フィードバックの編成とフロセス
一つの単元や題材の中で、一〜二時間程度の時間を特設し、フィードバックをした。(図4)
2) 単元(題材)外フィードバックの編成とプロセス(図省略)
いくつかの単元(題材)を指導したあとに、一〜三時間のフィードバックする時間を取り指導するものである。
これは学習して期間が過ぎて内容を忘却している児童がいるため、学習内容の保持、定着と次単元(題材)のレディネス向上を目的とした。
この授業を組織する場合、児童の実態を的確にとらえ、つまずきの内容や原因とグループ(一斉、等質、異質)の指導形態のかかわりをよく検討して行ったが効果的であった。
(三) 充実感を味わわせる指導法
今までの授業を改善する必要性から
(1) 充実感を味わうのは児童がどんな状態の時の感情なのかを明確にし授業で目指すべき姿をとらえること。
(2) その姿を実現するための指導の中核となる方法を決め、その指導法の確立を図ること。の二つを柱として研究実践してきた。
1) 目指すべき児童の姿
学習内容が理解できなかったり、わからなかったりした状態などから「よくわかり」「よくでき」「いつでも使える」とともに、学習内容のよさや題材の内容を「味わう」状態になったときの心的状態に充実感がうまれると考えた。
それを実現するための方法として次の五つを考え、授業の中で実践した。
2) 指導法
ア 課題の把握と意欲の持続のさせ方
イ 充実感を味わら場面の設定
ウ 学習評価のしかた
エ 学習のしかた
オ 教科(国語、算数、体育)独自の方法
三 成果と反省
三年間の研究実践から、いくつかの成果が得られた。
第一に、児童の学習に取り組む姿勢