教育福島0075号(1982年(S57)10月)-014page

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乗り越えることができないまま、わからないという傷口を広げていったのではないかと思われる。そこで、単元(題材)あるいは本時の学習前に、単元(題材)あるいは本時の学習に必要と考えられる知識、技能、能力、態度、経験、学習のしかたについて生徒の実態を的確に把握し、この結果を指導計画に適切に位置つけ、前提条件(レディネス)をそろえていく学習の場を設定していくという手だてを講じた。このように、生徒の実態を把握するためのテスト(調査)を「基礎調査」と呼び、指導計画改善の手だてとして位置づけた。

この計画に基づき、具体的に学習の場を設定していく方法は教科によっても異なるが、ほぼ次の二つの方法をとることにした。

○毎時の指導過程の前段階に「基礎確認」を位置づけていく。

○各単元(題材)の中に一〜二時間程度「強化」の時間を計画していく。

2) 基礎的、基本的事項のおさえ

単元(題材)指導計画で基礎的、基本的事項を明らかにしていくようにした。基礎的、基本的事項については、教科の特質により、その考え方に違いはあるが、単位時間の授業をもとにして、次のようにとらえていくことを基本とした。

○本時の学習に必要とする知識、技能、能力、態度、経験、学習のしかた、および本時の指導目標に到達するための学習内容

このとらえ方でいくと、前時の学習は本時の基礎的、基本的事項となり本時の学習は、次時の基礎的、基本的事項になるといら教科もあるが、教科によりこのとらえ方には弾力性をもたせ、より端的に次のようなとらえ方も含めて考えていった。

「もとになる大切なことあるいはもの」

3) 具体例(理科の実践から)

ア 指導計画作成の手順(資料3)

イ 単元指導計画表(資料省略)単元指導計画表は、学校として統一し、作成にあたり次の点を十分生がすように努めた。

○指導目標

単元や題材が教科の目標に対してどのような位置づけのもとに設定されたのかを、まず明らかにする。

つまり、各学年における指導内容の関連、単元相互の関連をおさえる。その上で、単元目標を明確にし、生徒の実態に即して、到達度を予測し、本時の目標を具体的に設定する。その際、目標が評価の対象となりうるように行動目標として表記する。

○指導内容

教材内容を分析し、指導要領に示されている指導事項をもとに目標達成に必要な指導内容を具体化する。

○基礎的・基本的事項

指導内容が明らかになったら、基礎調査の結果から、生徒の実態を十分考慮して指導内容の重点化を図るとともに、基礎的、基本的事項を明確にする。

○指導上の留意点

目標に迫る過程における教材観をもとにした重要な指導の意図や予想される生徒のつまずきに対する指導の手だて、評価の観点や方法等から必要不可欠なものに絞って、要点をおさえる。

(二) 授業の質的改善

次の三点に重点をおき、各教科の特質に応じ、授業の質的改善に努めた。

1) 基礎的・基本的事項を明確にとらえる。

基礎的・基本的事項は固定的あるいは普遍的なものではなく、相対的でありさらに個別的である、ということについて実践上十分配慮した。

2) 生徒の集団や個人の思考を練りあげるため、授業の組織化の手だてを工夫した。

・学習形態

・発  問

・学習のしかた

○課題解決に向かって、個人思考だけでは解決できない面を集団の力で練り上げ、理解を深めていく過程を大切にした。その際、集団思考の中で、一人一人の生徒が能力に応じた活動ができるように、ペア学習やグルーフ学習を指導過程に位置づけるようにした。

○集団思考を通して、気づいた誤りや新たな問題をもう一度個人にかえし、さらに考えさせたり、整理させたりする学習活動を通して、集団の中で学習する楽しさを味わわせるよう努めた。

3) 個別化と確かめの手だてを工夫した。

○指導過程の各段階に即した適切な評価を位置づけた。

○「書くこと」によって確かな定着を図った。

「わかった」といらと、ともすればあいまいさを残したままになりがちである。理解した内容を書くこと(表現)を通して、はっきりと定着させるよう努めるとともに、自己評価との関連も図った。

○単元(題材)ごとに基礎調査(事前テスト)事後テストの整理に努め個別化の視点を明らかにして指導ができるよら努めた。

4) 基本的指導過程を作成した(資料4)

これに基づき、各教科の特質に即して指導過程を工夫し、生徒自らが学びとる授業の実現を図った。

 

四 成果と反省

 

「ゆとりある充実した学校生活」実

 

 

 


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