教育福島0075号(1982年(S57)10月)-022page

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てこよう。

 

二 まとめにかえて

 

授業実施後、一クラス分の生徒の報告文を集めた小冊子を編んで、一冊ずつ生徒に配布した。四月からの『現代社会』の毎授業の糸口に、身近な問題を取上げるとき、大いに参考になっている。

かつて柳田国男は「郷土研究の話」(昭和十六年)において「村の長老などは元はよく話してくれたもので、教えずに死ぬのは悪いとさえ彼等は思っていた。それが又青年教育でもあった。今はそういう人々が黙っている。しかし問えば必ず喜んで謂うであろう」と述べている。

あえて言えば、社会科における聴き取り学習の試みが、家庭・学校・社会の共有する教育機能の焦点になり得るかもしれないということである。この聴き取りを通じて、生徒が祖父母の顔の雛や両親のうしろ姿に何がしかの感慨を抱くことがあるような気がする。そして、生徒たちが、やがて人の親となるとき、語り伝えるべき何ごとかを胸に宿し始める契機となると思う。

この夏、本校の一年生は全員、聴き取りカードを持って家に帰った。生活予定表に「会津へ行く。祖父母から話を聞くため」などと記入されていた。

生徒たちが、その若い魂に、どんないろどりを添えて登校してくるか、楽しみなことである。

 

表1 新しい指導計画、繊維工学(1)指導計画

◎−重点  ○−まとめ

工業

 

工業

 

工業

 

実験・実習を中心とした学習指導の実践

 

福島県立川俣高等学校

教諭  樋 口 通哉

 

昭和四十年代後半から年々多様化してくる生徒の実態(目的意識の少ない生徒・学習意欲の欠如、基礎学力の不足・多様な進路等や女子生徒の五〇%台から七〇%台への増加)に対応していかにして『専門科目の学習に興味・関心を持たせるか、生徒がわかる授業とは』の具体的研究に取り組み実践してきた。ここに現在までの実践の歩みと、昭和五十七年度よりの新教育課程への移行以後の展望を記してみたい。

 

一 実験・実習を中心とした学習指導の歩み

 

(一) 専門科目指導内容の洗い直し昭和四十七年度に、「繊維工学1)」「繊維工学2)」の専門科目の学習内容の精選・指導法の研究に取り組んだ。その結果、多様な生徒の実態と恵まれた施設(現有率八二%)設備(現有率七四%)を十分考慮して、実験・実習による具体的、体験的な学習を重視した学習内容の構造化を図り、新しい指導計画を立案した。 (表1)

(二) 新しい指導計画にもとづく学習指導

新指導計画を実施するに当たって、生徒の到達段階、専門科目相互の関連性を考えて、わかる授業実践のため次の指導過程を設定した。

1)第一学年での指導

従来、第一学年で指導してきた座学を、入学当初の生徒に専門に対する親しみと関心を起こさせるため、作業を通して体験的、具体的にわからせる実験・実習を中心とした学習へと変更した。 (実習四単位から六単位へ増単)

2)第二学年での指導

第一学年での体験的学習を基に、座学と実習の構造化を図り、座学が実験・実習の指導過程の中で展開される学

 

 

 


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