教育福島0075号(1982年(S57)10月)-024page
るとともに、一年から三年までの総合学習のためのテキストとして、「被服材料概論」を採用することにした。
(五) 実施結果の考察
昭和五十年から昭和五六年にわたり実施してきた、「実験・実習を中心とした学習指導」の実践結果について、その成果と反省を述べてみたい。
表4 第一学年実習指導計画
〔前期〕 実習テーマー糸について(本実習の学習展開は、O.H.Pトラペンにて行う)
○時数 3時間×9回=27時間 ○生徒数 13〜14名 ○指導教師 1名
学年実習項目 実習評価表 担当教師
(ア) 入学当初は、自分の専門についての不安から表情も硬いが、実習室で手でふれ、体験的に確かめる学習により自分の専門への親しみと興味・関心を持つようになり、一学期より二学期・三学期と学習意欲を増し、積極性と明るさを見せてくる。
(イ) 小グループの実習の中で、生徒と教師の間に対話が起こって、親しみを持つようになる。また、学習指導だけではなく自然に、生活指導、進路指導の場ができてくる。特に一年生の場合一人一人の個性の把握、理解に非常に有効であり、二年以降の生活指導・進路指導等に果たす役割も大きい。
(ウ) 座学で無気力な生徒でも、実習では生き生きと積極的に学習に参加し座学では発見できない生徒のすばらしい能力を発揮することがある。
(エ) 二学年以降の座学の展開で、これまでの実験・実習で体験した学習をベースとして、具体的な課題や学習発表を取り入れることで、座学でも意欲的に学習する。
(オ) 実験・実習の中に設計・操作・製作・検査等の要素を組み入れることにより、生きた工業の営みの姿を具体的・実際的に学ぶことができる。
(六) 反省
(ア) 基礎的で基本的な実習を行うため機械の質と量の充実が必要である。しかも生徒の実態に合った容易に操作できる丈夫なものが望ましい。
(イ) 生徒の実態は、ますます多様化、複雑化してきている。しかし指導にあたっては、一人一人の実態に合った弾力的できめの細かい指導が必要となってくる。教師は指導に当たっては個別化を図りながら、生徒の能力を発揮させる指導法の研究が必要である。
(ウ) 科の職員の共通理解と学科の教科・科目の総合的な指導内容の研究、研修が必要である。座学と実習が区別なく、科職員の全体的な共通理解のもとで行うために、教材の構造化と科内研修が常に望まれる。
二 五十七年度からの新教育課程への移行について