教育福島0075号(1982年(S57)10月)-025page

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新学習指導要領の実施に当たって今迄実践してきた「実験・実習を中心とした学習指導」を骨格として、各学年の指導方針を決定した。

(一) 一学年では、「工業数理」以外の座学は設けず可能な限り多くの実習の単位を確保する。

(二) 二学年では、「繊維製品製造」の学習内容を『実習』で重点的に実施し座学はできるかぎり少なくして、一年生で体験学習した内容に関連する「繊維・繊維製品」の座学に重点をおく。

(三) 三学年では、女子の「家庭一般」四単位に対して、男子は「繊維製品製造」を設け、繊維機械の管理、品質管理、電気基礎等の内容を指導することにする。また製図では、二学年、三学年で「機械の設計」に関連した内容をとりあげ総合的な学習を目指す。

以上の指導方針のもとに、教育課程を編成し、実習計画表等を作成して、昭和五十七年度より実践している。

 

おわりに

 

繊維工学科では、このように昭和四十九年から五十六年に、生徒の能力、進路等の多様化に対応して、実験・実習を中心とした「生徒が興味と関心をもって、自らわかろうとする学習」をめざし実践したが、改善点は山積している。今後、実践結果の評価分析をかさねて、より良い学習指導法の研究に努力してゆきたい。

 

家庭

 

学習指導計画表

被服製作(ひとえ長着)指導の工夫と実践

 

被服製作(ひとえ長着)指導の工夫と実践

 

福島県立原町高等学校

教諭  高 橋 ユ キ

 

多様化した生徒の実態からして、被服製作における教材の精選は重要な課題である。「家庭一般」履修後、「被服」を六単位履修する生徒には、日本の民族衣裳である和服、その基本である「ひとえ長着」はどうしても教材からはぶくわけにはいかないと考える。しかし、日常の衣生活から、ますます縁遠くなりつつある和服を、最後まで興味、関心をもたせ、意欲的に仕上げさせることは、多くの教師が頭を痛める問題である。何とか生徒に興味をもたせ、わかる授業を展開して、製作の喜びを味わわせたいと、今回工夫した教材資料と、その指導の実践について概略を述べてみたい。

 

一 生徒の実態

 

被服製作に関するアンケート調査では、四十一名中、「好き」が三名「嫌い」が十名、他の二十八名は「普通」、嫌いな理由は、「面倒だ」、「着られるように作れない」などで、これまでに製作の喜びを味わったことのない生徒が大部分のようである。また、家庭でも、「どうぜ着られるようなものは作れないから」と、生徒の作品にあまり期待していないようである。

一年次におけるブラウス製作の結果からみても、学習到達度のかなり低い生徒もおり、「ひとえ長着」を教材にとりあげることはむずかしいのではないかという不安もあった。しかし、一クラス二十名と少数であることや、家庭一般の二単位(食物領域)を一年間指導したので、生徒一人一人の気持ちや考え方などもある程度理解していることなどから、指導の方法を工夫すれば……と「ゆかた」を教材にとりあげこの指導に取り組むことにした。

 

二 実践の目標

 

(1)興味をもって全員がたのしく実習できるよう、わかる授業を工夫する。

(2)本時の目標を明確にし、学習到達度に応じた指導をする。

(3)「間違い」「やり直し」を出来るだけ少なくするために各段階での確認をしながら指導する。

(4)着装の指導をとおして、全員に完成の喜びを味わわぜる。

 

三 実践内容

 

(1)導入の段階で、興味、関心、意欲を高めるため、各種のきもの姿の魅力的な絵を数多く見せ、日本の民族衣裳である「きもの」の、すばらしさと、わが国の被服としての長い歴史、特徴等について理解させた。

(2) 実物教材に入る前に、基礎縫いを実施した。(図1)

生徒にとっては、実習前の手ならしと同時に、基礎技術をしっかりと身につけるのに役立ち、教師にとっては、個々の生徒の技術指導にあたっての貴重な資料となった。

(3)長時間かかって仕上げるゆかたなので裁ち方や、しるしつけの段階で、つまずいたのでは、意欲をなくしてし

 

 

 


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