教育福島0075号(1982年(S57)10月)-026page

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まうので、まず、絶対に、間違わせない指導が必要であろう。

多様化した生徒には、特に、裁ち方やしるしつけ方を、板書による一斉指導でやっても、わからないのが実状である。そこで、わかる授業の工夫として、「私の寸法」等を記入する学習プリント(表2図2)を活用してみた。このプリントがあれば、生徒は、安心して実習できるばかりでなく、教師が個別に指導する際の確認資料として、大変役立った。

1) 表1、出来上り寸法表には、標準寸法と並べて「私の寸法」の欄を設け各自の寸法を、割り出し寸法表(省略)を参考に記入させる。

この「私の寸法表」が、以下の裁ち方、しるしつけ方の基本となるため、常に持参させる。

2) 表2、裁ち切り寸法の定め方も、( )に私の寸法を記入して、計算させる。見やすくするため、( )内の寸法は、色。ヘンで記入させる。

3) 図2、裁ち方図には、計算した裁ち切り寸法を記入させる。

4) 折り積もり(省略)にも、図2の寸法を記入させる。

教師は、ここまでのプリントの記入を点検し、間違いのない寸法であることを確認する。

5) 個別に柄合わせを見てやり、折り積もりをさせる。

ここでも教師は、プリントの寸法どおりであるかを確認し、間違いのないことを認めたものから裁ち切らせる。

この場合、プリントの記入のしかた柄合わせ、折り積もり、裁ち方は、すべて実物で示範し、全体に指導してから二人一組となり協力して行わせる。

6) そでのしるしつけについては、まずプリント(省略)の空欄に、「私の寸法」を記入させ、教師はそれを確認する。生徒は、プリントを見ながら、寸法どおりにしるしをつける。

その際、教師はここでもプリントの記入のしかた、そでを中裏に別々に重ねて置く方法、そでのしるしつけ方など、実物で必ず示範指導する。

7) 以下、身ごろ、おくみ、えりのしるしつけも、そでと同じ方法で指導する。特に、今までは、えり肩まわりの曲線のしるしで、時間のかかる生徒が多かったので、今回は厚紙で型紙をつくり、図3のように、合標をつけておく。この型紙は、曲線がきれいに出来て能率よく、しかも、合標が、えりのしるしつけ、及びえりつけの待針打ちを容易にしてくれる。

このように、裁ち方、しるしつけ方は学習プリントの活用により、間違いはほとんどなく、予定時間内に終わることができた。

(4) 縫い方は進度表(省略)を用い、一段階終わるごとに、完了の○印をつけ、次へ進ませる。左右のあるものは◎印とし、予定より三回おくれたら、赤○印とする。教師は、生徒の進度状況が、一目で把握でき、個別指導がしゃすい。生徒は、一つずつ○印がふえていくことをたのしみとし、赤○印がつかないよう、友達におくれないようにと、努力する姿が見られた。

(5) 毎時間ごとに必ず本時の目標を板書し、個人差を考慮し、それぞれの到達度目標を設けることを心がけた。また、事前に行った調査や基礎縫いの資料をもとに、表3に示すように、生徒を三グループに分け、授業の流れの中で個人差に応じた指導を行い、出来るだけ進度差を生じないよう配慮した。

また、進度のおくれ、入室(被服室)のおくれ、忘れもの、学習態度などは評価に加えることを、あらかじめ生徒と約束をしておき、授業に熱心に取り組む態勢づくりをしておく。

(6) 完成後は、全員できものを着ることを、たのしみにして努力させ、全員が完了するのを待って、着装指導をする。縫い方の上手、下手は別として自分で縫い上げたきものを着れた生徒のよろこびは、たとえようがない。

 

おわりに

 

はじめにかかげた実践目標は、ほぼ達成できたように思われる。

果たして全員が着装までこぎつけられるかという不安もあったが、プリントの活用で、裁ち方、しるしつけ方は思ったより効果的であった。プリントが、生徒と教師の心を結ぶかけ橋になったようにも思える。一番むずかしいはずのえりつけも、型紙と、合標によ

 

図1.基礎縫い

予定時間、1時間、残りは、放課後、指導して提出させる。

予定時間、1時間、残りは、放課後、指導して提出させる。

さらし、30cmで、実習させる。

 

表1 出来上り寸法表    測定寸法

表1 出来上り寸法表    測定寸法

 

 

 


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