教育福島0075号(1982年(S57)10月)-042page

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わたしの研究実践

 

重さの授業を楽しく

原町市立石神第一小学校教諭

松本安彦

 

一 はじめに

 

「重さの指導はむずかしい」ということをよく聞く。重さは、長さや面積のように、「重さという量はこれだよ」と視覚的に訴えることができないので指導する側からはたいへん指導しにくい内容となっているようだ。

また、児童にとっては、なんといっても、重さという量そのものを目で見る≠アとができないところに、学習にむずかしさをおぼえる原因があるようである。

次に、子供は、日常生活活の中で重い∞軽い≠ニいう言葉をなんの抵抗もなしに、感覚的に使っているがこのような感覚的なとらえ方を物には重さという量が存在する≠ニいう認識にまで高めるために、どのような指導の手だてを講じたらよいか、迷うところにむずかしさがあるようだ。

ところで、楽しい算数の授業について考えてみると、問題そのものが子供の興味や関心をひく場合、適度の抵抗がある問題で、自力で解決が図れそうな場合、結果として、問題が解けよくわかった場合の三つに子供は楽しい授業を意識しているようである。

そこで、ここでは、一人一人に自作てんびんを操作させること、すなわち自分の手で実験し、操作することによって、重さの概念を理解するねらいをもって、指導した例について述べてみる。

 

二 授業の実際

 

(一) 実施学年 三年三組(四十名)

(二) 単元名  重さ

(三) 単元の目標

1) 重さは長さやかさと同じよらに、単位とする大きさを決めて測定できる量であることを知らせ、重さを比べたり、測定したりする経験を通して、重さの概念を理解させる。

2) 重さの単位(キログラム、グラム)を理解させる。

3) 秤の読み方と用い方を知らせるとともに、いろいろな物を測定することを通して、重さに対する量感を養う。

4) 正味・風袋・全体の重さとの関係を知らせ、物の重さを正確に測る力を伸ばす。

(四) 事前テストの考察

各家庭で秤を使ったり、身体測定などで体重を測ったりしているので、単位や読み方は知っている子がいる。反面、非常に軽い物、小さい物、測定しにくい物などには、重さがないと考えている子供がほとんどである。

(五) 実際の指導にあたって

重さと体積との分離を図って、重さとはこういう量なのだ≠ニいうことや、空気などには重さがないと考えている子供がほとんどであることから、全ての物には重さがある≠ニいうことなどを自作のてんびんを操作させることによって、理解させていきたい。

重さの単位がどうして生まれてきたのか、四段階指導(直接比較→間接比較→個別単位→普通単位)を通して導入するとともに、重さの保存性、加法性、水一リットルの重さが一キログラム、一円硬貨一枚が一グラム、千枚で一キログラムとなることなどについても、実験・操作を通して理解させていきたい。

秤の使い方については、秤量・感量について理解させるとともにいろいろな物を実測させることによって、目盛りの読み方や取り扱い方に慣れさせていきたい。

(六) 指導計画

単元を見通した指導をしたいということから(資料1)のように表すことにした。

(七) 本時の目標

物には重さがあることを、理解させる。

○次の物には重さがあることを、てんびんを使って、調べること.ができる。

石、木ぎれ、虫ピン、綿、米一粒、ナイロン袋、ちり紙一枚、かみの毛一本、空気

○物には重さがあることを指摘できる。

(八) 指導過程(資料2)

(九) 授業の実際

1) てんびんの扱い方が、やや不慣れ

 

 

 


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