教育福島0075号(1982年(S57)10月)-046page

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まちからむらからこんにちは

 

高齢者教育の拡充をめざして

下郷町教育委員会

 

一 高齢者教育計画の見直し

 

下郷町では、「自ら学習し、生きがいを求める社会教育の推進」をめざして、めまぐるしく変動する地域社会に適応できるよう、高齢者教育を進めてきたが、更に、高齢者人材活用事業等を促進することが、今後の高齢者教育の推進に重要である。

当町における高齢者(六十五歳以上)の人口の比率は、十六・二パーセントと高率を示し、なおかつ急激な増加の傾向を見せている。

このように比率の高い高齢化が進んでいるとき、高齢者自らが、町の発展に寄与する社会的役割の重要性を認識するよう、一日も早い対策の見直しが迫られるとともに、施策の再検討が必要である。

しかし、広い地域と農山村という特殊性の中で、交通網等の諸問題をかかえ、高齢者教育の拡充をはかるには、幾多の対処しなければならない問題が多い。少数の職員と、予算の裏付け等を配慮し、今後、地域に合った創意工夫をしていく必要があるが、一つの打開策として、高齢者の人材活用事業を広く推進することが考えられる。

 

二 社会教育の再検討

 

高齢者は必ず機会あるごとに、「われわれは、戦前戦後を通して、苦しい生活に堪えながら、明るい希望をもって生き続けてきた。今の若い者は、子供は…」と世相を憂えて叫んでいる。

しかしながら、地域社会、特に家庭にあって、高齢者の役割はどれだけ必要とされているのだろうか。ましてや今の子供たちからは、その存在が忘れ去られようとしているのが現況ではなかろうか。すぐれた知識や技能、すばらしい経験を有する高齢者に対し、特定の人を除いて気持よく活動出来る機会と場が開発されているのだろうか。

もし、高齢者が、強引に、自ら行動にうつしたとしたら、地域の人々が、どれだけ耳目を傾けてくれるであろうか。むしろ、「それは古い」「昔のことだ」「老人の出るまくではない」と嫌われ、老人は自ら口を閉じ、活動を避けてしまい、意欲をもちながらも、自分の殻に閉じこもってしまう人が多いであろう。老人の年金だけが魅力なのだろうか、高齢者の中には、百万円の貯えがなければ死なれないといっている人もいる。

このような現実を直視し、見極めて高齢者社会の対策と高齢者教育の拡充をはかるには、なんといっても、社会教育の全体計画の再検討を行い、その中における高齢者教育に、創意と工夫が必要となろう。

 

三 高齢者教育の現状

 

高齢者のかたがたには、戦前戦後を通じて体得した、尊い知識や技能と経験がある。これらを生かす機会と場を設けて、若い世代に継承し、実践を通して助言指導を進めていけるようにすることが必要とされている。

(一) 高齢者学級の開設

高齢者学級においては生涯教育の趣旨を十分踏まえ、生きる喜びを味わい健康で明るく、自己の体力を増進し、尊い人生の体験を後継者に伝承し、進んで社会に奉仕する方途を、実技、学習を通じて身につけることを目的としている。

当町の高齢者学級の特質として、まず学級生は、町内に住む六十五歳以上のかたとし、各地区老人クラブから一〜二名選ばれ、入級することになっている。修了後は各地区のリーダーとなることによって、高齢者教育の拡充をはかっていくようにしている。

 

高齢者の人材活用は…

高齢者の人材活用は…

 

 

 


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