教育福島0075号(1982年(S57)10月)-047page
開設期間は一年で四月に開設し、翌年三月に修了する。年間十二回で定員四十名である。その中で無欠席者は二十名前後である。
学習内容は、健康管理、世代間の交流、伝統継承、一般教養、当町の歴史探訪、趣味等、年間四十八時間実施している。運営に当たっては魅力ある学級にするために、いろいろ工夫し努力している。
(二) 三世代の集い
事例
実 施 日 昭和五十六年十一月
参加対象者 青年会、婦人会、老人会
研究課題 「各世代からみた礼儀と思いやり」
体験発表 高齢者学級委員長
特に、高齢者代表の発表が印象的だったので紹介する。
「わたしたち高齢者は、戦前、そして敗戦といういまだ経験のない苦しい社会に直面し苦難に堪えながら、強く正しく信念をもって、わが町、わが国の新らしい社会づくりのために生きつづけてきました。
しかし、現代社会のあまりにも急激な変化と、多様化する生活の変貌と、知識や技能に、対応する能力の難しさを感じています。
今の若い世代に従わざるを得ないと自覚していますが、今の社会の現象は決して全面的に満足ばかりしていいのでしょうか。明るい、美しい町づくりになにかが欠けているような気がいたします。
それはなにか、今も昔も変わらない各世代間における礼儀と思いやりの精神ではないでしょうか。それを考えるとき、私は、六十年間以上の経験を通して得たもの、身につけたものを精選し、若い世代のかたに継承する義務があると思います。また、そのことが、現在における高齢者にあたえられた、現代社会に果たす役割であると信じています」と受講者に深い感銘を与えました。
分散会での討議では、印象の深かったのが、若い世代における日常の挨拶であった。現代風の「オース」といった表現法が、老人から指摘され、話題の中心となった。また、若い世代からは「子どものころ、おじいさんやおばあさんにだっこして、おせわになったことは忘れない」といわれて、会場もなごやかになった。
本年四回目を迎え、青年会による演劇の発表がなされ、練習不足の傾向もあったが、素朴で、会場からは、笑いと涙と現代社会の風潮に対するいきどおりが感じられ、大好評であった。
回を重ねるにしたがって、各世代の意識も昂揚し、参加者も増してきている。この事業は、近い将来各地域単位に実施していく考えをもっている。
(三) 高齢者と子ども会
当町中妻地区では、毎月第一日曜日の朝五時より、高齢者と子ども会が協力して道路清掃を実施している。高齢者も、子どもも互いに信頼しているので、これをもとにして、子どもとのふれ合いを増し、継承活動を進めていきたい。
四 むすび
高齢者教育の拡充をはかるために、社会教育の全体計画を見直し、高齢者に学習の機会と、社会参加の場を多く設定することは、高齢化社会を考えるとき最も重要な任務の一つと考える。今後、更に創意と工夫もって、魅力ある高齢者教育の拡充がはかられるよう努力していきたい。
(学校教育係長 兼社会教育係長 星 学)
高齢者の学習
歴史探訪
子どもと一緒に清掃