教育福島0075号(1982年(S57)10月)-049page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

使用し、あたかもコンピュータを占有しているかのように利用することができる。順番待ちの必要もなく、マイペースで実習できるばかりでなく、ディスプレイ画面に表示された内容を見ながら即座にエラーの修正ができるなど大変便利なので、質・量ともに実習効果を高めている。

プログラミング実習で使用する言語はフォートラン言語が大部分で、コボル言語を使用しているのは商業高校の情報処理科だけである。実習問題は、初歩的な内容から二次元配列や副プログラムの利用まで、各学校によってまちまちである。

自動製図機実習は、工業高校での設計・製図実習として利用されているが今後は家庭科や農業高校での利用を期待している。

数値制御工作機械実習は、TSS端末でソリスプログラムを作成、これをコンピュータで処理してNC指令テープを出力、さらに自動製図機で描画させて正しいかどうかを確かめ、正しければ素材の切削加工を行うといった一連の過程を実習している。

以上述べた実習は、来所して行っているが、遠隔地にあって来所できない学校ではOCR(光学文字読取装置)用紙にプログラムを書いてセンターに郵送し、センターでこれをコンピュータで処理の上、結果を学校に返送する方法でプログラミング実習を行っている。

 

三 実習所感

 

「そこには感動があった。TSS端末、ラインプリンタ、自動製図機などを媒介として教師と生徒とのコミュニケーションから自然に生じてきたものである……」

六月末、数値制御工作機械実習での引率教師の反省記録の一部である。先生と生徒のコミュニケーションから、「感動」が生まれたのである。

年間約九十回の生徒実習を実施しているが毎回見られる実習風景である。

朝、学習意欲を見せない生徒でさえも、次第に熱中し、昼食時間も惜しんでTSS端末に向い、課題を完成させた成就感をもってセンターを去って行く。

生徒は、実習でさまざまなことを身につけているようである。ここに生徒の感想文の一部を記しておく。

○プログラムなんてできっこないと思っていたが、いざ、取り組んでみると思ったよりむずかしくなかった。

○何もかもが驚きであった。この実習でこれからの勉強や進路を考えるのに大変役立ったような気がする。

○コンピュータが世の中にいっぱいでまわったら我々は時代の流れについて行けなくなってしまうかもしれない。学校でもっと教えてほしい。

○わからないところがあるとすぐにとんできて親切かつ、ていねいに教えてくれる。僕は見ていてとても気持がよかった。

 

おわりに

 

進展する情報化社会は、現代の生徒たちが担っていく。今、この時期に情報処理教育がしっかり行われなければならない。生徒たちは、抵抗なく新しい機器を操作し、新しい考え方を受け入れてくれる。

生徒実習は、学校での教育の補完的役割をもっと同時に、先導的役割も果たさなければならない。今後は、データ処理実習のためのソフトウェアの開発に努め、より一層充実した生徒実習ができるようにしたいものと考えている。

 

実習風景

実習風景

 

自動製図機で描いた体育館概念図

自動製図機で描いた体育館概念図

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。