教育福島0076号(1982年(S57)11月)-007page
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このような経験から、子供たちには、それも、できるだけ早い時期に身近かな遊びを通じて自然の法則を学ばせ自分をとりまく現象を科学的に究明する習慣を身につけさせることが大切である。子供が自分の手を使い苦心しながら物を創る喜び、一見平凡な遊びの中にも原理や法則を見つけだす科学的な心。これらを涵養すればやがては産業教育の振興や文化の向上につながるのではあるまいか、と思う。
本県は幸いにも窯業資源、つまり無機材料を多く産出する県である。いわき地方は耐火粘土を産出するため耐火練瓦の製造が行われ、相馬地方は粕薬の原料となる戸山石があるのでそれを用いた青磁粕の相馬焼が盛んである。中通りは長石、カオリン、石灰性粘土でセメントエ業や瓦の製造が興されている。このように会津をはじめ県内各地にはそれぞれに産出する土石の特性を活かした種々のセラミック産業があり、産業教育がその発展を側面から支えてきた。
しかし時代は更に進んで、窯業界もニューセラミックスやファインセラミックスの時代を迎えている。一説によれば地球は表面から一六〇キロまで珪酸塩類でできあがり、地球のおよそ三分の二が窯業の資源である。無尽蔵ともいえるこれら資源の元素を配合し高温で焼成したものが、例えば陶磁器やガラスがセラミックスである。更に高度な技術の開発によって生まれたのが今日いうところのニューセラミックスであり、製品はICなどの人造鉱石、エンジンのプラグから最近話題のスペースシャトルの外装タイルや人工骨の開発にいたるまで、窯業は古い瀬戸物の領域を越え新しい時代の要望に応える花形として脚光を浴びてきている。
日進月歩の科学の世界。窯業はその一例にすぎないが常に新しい技術や知識をいち早く吸収し、次代を担う若者たちの教育に取り入れなければならない。かかる進取の努力を惜しんでいては教育の、特に産業教育の生命は枯渇すると思うが、どうであろうか。
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ていげん
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