教育福島0076号(1982年(S57)11月)-030page
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グループ研究・福島県立平工業高等学校
交通事故・交通違反者とその性格の相関関係
交通安全教育・基礎研究グループ
はじめに
高校生の交通事故や二輪車運転にまつわる非行が社会的な問題となっていて、その指導が重要な課題の一つとなっているが、本校においても「4プラス1ない運動」の趣旨に基づいて、学校あげてその指導に取り組んでいるところである。
しかし、本校では工業高校で九八○余名の在校生のほとんどが男子であることや今日のモータリゼーションの発達などを反映して、学校の指導に違反したり、交通違反や事故を起こす生徒があとを絶たない現状である。
そして、交通違反の生徒の考え方や態度をみるとき、自分の非を認めず、警察官に補導されたことを運の悪さにすることが多い。このような生徒に対して学校として指導を加えると、彼らは屈辱的な罰を受けたととらえ、さらには学校に不信感を抱くようになるおそれが生じてくる。
このことは、そのような生徒たちに交通違反に対する罪の意識が欠けていることに起因していると考えられる。また、学校の指導が交通違反という現象のみをとらえたいわば対症療法に偏りがちで、潜在的に問題傾向のある生徒への教育相談的手法をとり入れた個別指導が不足していることもその一因と考えられる。
本校におけるこれらの現状と問題点を踏まえて、わたくしたちの研究グループは、校内で実施される種々の心理テスト等を活用して、生徒個々の性格の特性をできるだけ把握し、交通事故や違反を防止する指導資料を得ようと試みた。
一 基礎資料のための諸検査
生徒に対する個別指導の基礎資料とするため、本校では生徒全員に次の各種の検査を実施している。
(一) 知能検査
一年生時に実施し、全国標準による偏差値と段階を資料とする。学業成績との関係をみて、個別的な学業指導の資料としても活用を図っている。
(二) N式作業性格検査(クレペリン)
二年生時に実施。作業曲線型(基本的な三十六種)の診断・判定は社団法人雇用問題研究会に委託している。
(三) TK式問題性予測検査(田中教育研究所編著)
一年生時に実施。生徒個々を、その属する問題性の類型(タイプ)に分類して資料とする。
以上の検査結果はクラス単位に一覧表にまとめ、マル秘扱いにするなど配慮しながら個別指導の資料とする。
(第3表参照)
二 各種検査と交通事故一違反の関係
(一) N式作業性格検査
第1表は作業曲線の表す性格の判定により、工業志向型、準工業志向型、非工業志向型に分類した場合のそれぞれの構成比と運転免許所有者の百分率を示したものである。
1) 工業志向型が年々減少し、非工業志向が増加の傾向が認められるこのことは、高校進学時の進路選択に問題があり、不本意な入学により不適応に陥る生徒が近年増える傾向と一致している。
2) 運転免許所有率は、三つのタイプ間に顕著な差は認められない。学校の指導に反して運転免許を取得することは、このような類型の分類とはあまり関係がなく、他の要因が働いていると考えられる。
交通違反の生徒は、この検査による性格標語の中で、意志薄弱、無気力、興奮性等に該当する者が多く、環境条
表1.N式作業性格検査と運転免許所有率
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