教育福島0076号(1982年(S57)11月)-034page

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教育センターから

 

特別活動講座

 

一 はじめに

 

各学校においては、学習指導要領改訂のねらいである人間性豊かな児童生徒を育成するために、ゆとりあるしかも充実した学校生活の実現を目指して教育活動が実践されているところである。このねらいを達成するうえで、特別活動の果たす役割は、まことに大きいものとなってきた。

ついては、従来の指導実践を反省し更に充実させていくことが、今期待されているところである。そのためには「成することによって学ぶ」特別活動の特質を生かしながら、一段と創意工夫をこらして、実践を進めていくことが一層重要になってきたといえよう。

当教育センターにおける特別活動講座も、昭和五十一年度の開設以来、特別活動に関する基礎的な理論及び効果的な指導法について、講義、研究協議、演習による研修を実施してきた。なおこれまでの研修生の延べ人数は、小学校で三三〇名、中学校で二四〇名に及んでいる。

従来本講座は、小・中学校ともに教職経験十年以上、又は主任等を対象にした二次研修のみであった。その結果「ここでの研修が指導の現場に浸透しにくい」との反省や、若い先生方から「どう指導したらよいか悩んでいるので研修の機会が欲しい」等の希望が出された。

そこで今年度は、小学校に経験十年未満の先生方を対象にした一次研修講座を設けるとともに、中学校を共通講座とし、指導の実際に一層役立てたいと考えている。

特別活動指導の当面する課題としては、次のようなことが考えられる。

1) 特別活動を通して、どのような児童生徒を育てようとしているのか、明確に理解されていない面もあるので、「人間形成」という観点から、特別活動指導のあり方を見直す必要があること。

2) したがって、単なる一領域としての特別活動指導ではなく、学校経営という立場から、特別活動の指導を見直す必要があること。

3) 指導実践場面においては、計画→実践→評価→計画‥という一連の流れが大切といわれているが、特に、実践→評価、評価→計画のあり方について、研究を深める必要があること。

4) 今回の改訂で話題となった「創意を生かした教育活動の時間」と特別活動との関連について、再検討をする必要があること。

5) 学校行事や児童(生徒)活動などの具体的な指導においては、職員の共通理解、指導体制をどう確立していくかを再検討すること。

これらについての研究を深め、日常の指導を更に充実させるために、当センターでは、次のような研修講座を実施している。

○小学校特別活動講座(一次三〇名)

○同(二次三〇名)

○中学校特別活動講座(共通三〇名)

ここでは、去る七月に実施した小学校特別活動講座(二次)の概要を紹介する。

 

二 小学校特別活動講座(二次)の概要

 

〈講義〉

「人格形成と特別活動」

宮城教育大学教授 岩浅農也先生

先生のもつ人生哲学を柱に、教科指導、学級経営、児童とのふれ合いを通した人間教育について、具体的な事例をもとにした講義であった。

次に講義の主な内容をあげてみる。

●子供の教育に当たっては感性を子供が何か間違いをしたとき、「なぜ…」「〜だから〜なのだよ」と論理で指導に当たった場合、子供の理性は育つだろうか。子供の表情、態度しぐさから、子供の考えて、いること、困っていること、悩んでいることを感知できる『感性』を教師はもたなければならない。つまり、子供の教育に当たっては、理性ではなく感性が大切なのである。

●荒れる子供を立ち直らせるには

子供の荒れる原因の八十パーセントは授業がわからないからである。したがって、わかる授業に工夫することが基本となる。しかし、現に荒れている子供がいるとすれば、学級づくりが先

 

 

 


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