教育福島0077号(1982年(S57)12月)-028page
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わたしの研究実践
物語文を意欲的に読むために
伊南村立伊南小学校教諭
斎藤 就治
一 はじめに
教科書の中には、かなり長文の物語が取り上げられている。高学年になるとその傾向が著しい。
長文の物語を指導して反省させられることは、児童の読みに対する意欲が最後まで続かず、教師主導型の授業になりがちであるということである。
物語文の読みにおいては、特に、読みに対する児童の意欲を持続させることが、読みの深まり(表現に即した豊かな読み)を可能にする第一条件であると考えられる。
以下は、意欲的な読みを成立させる授業についての試みである。
二 意欲的な読みを成立させるために
(一) 「読みの性格」を決定する。
第一次の読みで全文を概観し、初発の感想を持ち、学習の計画を立案することは、一般的によく取り上げられる内容である。しかし、児童の読みに対する意欲という点を考えると、これだけで十分であるとは言えない。
第一次の読みにおいては、初発の感想をもとにし、表現を具体的におさえながら、作品の形象につながる全体の課題を設定することが大切である。
この全体の課題を解決するために何に視点をあて(登場人物の気持の変化など)読みを進めたらよいか読みの性格を決定するのである。このことにより、読みの構えができ全体の課題を解決するために読もうとする、児童の強い意欲を期待することができる。(資料1)
(二) 全体の課題を解決するために場面を読む。
全文を場面分けし、場面ごとに区切って読んでいくことも、物語文の場合普通に行われる形である。この場合、問題になることは、最初の読みの感動がしだいに薄れ、順序だから読む、授業だから読むという受け身の読みになりがちなことである。
そこで、常に全体の課題を意識した場面ごとの課題を持たせることが必要である。全体の課題に迫るために、この場面では、何を読みとらなければならないか、という積極的な課題意識を持たせるべきである。
この場合、課題はそのつど設定させることが、前までの読みを生かせることにもなるし、それが、表現をおさえた具体的なものであれば、なお効果的である。
このほか、授業を展開するにあたって、留意した点は次の事項である。
1)書く活動による読みの個別化
2)読みの比較による深化
3)読みの修正
三 授業をふり返って
(一) 実施学年 六年(三十四名)
(二) 教材「石うすの歌」(光村上)
(三) 授業をふり返って
「千枝子は、石うすの歌が大嫌いだったのに、なぜ大好きになったのだろう」を全体の課題とし、それに迫るために、場面ごとに課題を設定し読みを進めていった。その結果、児童が導き出したものは、「石うすは、千枝子のその時、その時のすなおな気持を歌ってくれるから」というものであった。(資料1)
各場面ごとの読みの深まりも、児童の意欲に支えられ、資料2のように深まりが見られた。
この作品の中心ともいうべき「石うすの歌」は、それを回す人のすなおな気持の表れであり、千枝子が戦争という暗い時代の中で、自らを大きく成長させていくというこの作品の主題に、
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