教育福島0081号(1983年(S58)06月)-009page
はじめに
生徒指導は、「すべての生徒のそれぞれの人格のより良き発達を目指すとともに、学校生活が、生徒の一人一人にとっても、また学級や学年更に学校全体といった様々な集団にとっても、有意義にかつ興味深く、充実したものになるようにすることを目指すところにある。」(文部省編、生徒指導の手引)はずである。
ところが最近、非行の低年齢化とともに、全国的に中学生を中心に校内暴力事件が続発し、大きな社会問題になっている。そのために「生徒指導」即「非行対策」であるかの如く世間一般から受けとめられているのが最近の風潮でもある。これは生徒指導のいはば消極的な一面をとらえたもので本質をとらえているとは決して言い難いものである。
しかし、現実に発生をみている非行等の対策は避けることのできない急務でもある。したがって「すべての生徒を対象とする本来の生徒指導のあり方を十分にふまえながら、非行問題の解決のための対応にせまられる」のが現在の生徒指導上の課題となっている。
ここでは、学校における非行防止の観点から、指導上の手がかりを探求してみたい。
一 増加を続ける少年非行
今日、青少年の問題行動が、社会問題として大きく取りあげられているがこれは、昭和二十六年、四十年に次ぐ戦戦第三のピークであり、しかも、短期で終息をみせた前二回にくらべ、とどまることを知らず、依然として増加の一途をたどっている。(表1)
昭和五十年度中に、県内で補導された少年は約二万三千人で、前年にくらべ七・七%の増加をみせている。(表2)
全刑法犯に占める少年の割合は、昭和五十六年に至って半数以上となり、ついに成人を追い越すに至っている。(表3)
十六歳を頂点に十四歳〜十六歳の少年が全体の五二・二%を占め(表4)非行の低年齢化が進んでいることを示すとともに、中学生が急増し、全体の三九・七%を占め、非行の中心となっていることがわかる。つまり、五人に二人は、中学生であるという驚くべき数字を統計は示している。
表1 どこまで続く増加の波
昭和50年かち戦後第三の増加の波が押し寄せており、刑法犯少年の推移により、この傾向を見ることができます。
二 少年非行の特徴
現在問題となっている少年非行は、暴走族や校内暴力にみられる集団粗暴化や暴力行為(表6)また、オートバイ盗(表7)や万引(表8)、シンナー吸引、(表9)等に見られる初発型