教育福島0081号(1983年(S58)06月)-010page
非行がきわだった特徴となっている。
また、非行の入口に立っているといわれる「ぐ犯不良行為少年」も一万七千人以上を数え、(表10)被害や非行につながる少年の家出も中学生がトップを占めている。(表11)この家出や薬物乱用などでは、女子生徒が多いのが特徴である。
以上のように本県の実態は全国的にみると低い位置にはあるが、非行等の内容を分析してみると、粗暴化、集団化、低年齢化、中学生の急増、初発型非行(従来は、遊び型非行と称した)の増加など、その傾向は、全国と類を一にしている。(福島県警察本部資料)
三 少年非行の背景
非行は、厳密にいえば、一人一人、それぞれの事件で原因が違っている。
また非行の究明には、医学、心理学社会学などそれぞれの立場から科学的に研究ざれてはいるが、これらを統合した多角的な観点や理解が必要である。非行の原因については、本人の素質的要因と、本人を取りまく、環境的要因の相互作用も考えられるので、発達的、統合的な観点からの解明も必要であることは言うまでもない。
非行の一般的原因としてあげられることは
(1)本人に素質的要因がある場合
1)性格異常、情緒障害などの問題
○思春期における発達障害、発育の遅滞、不調和、成熟の加速現象。
(2)非行を生みやすい環境上の要因
1)家庭
○核家族化や親の心理的な不在に基づく人間関係の障害。
○戦後の家庭の無力化、孤立化、親の養育態度の混乱、正しい愛情と権威の欠如。
2)学校
○画一的、知育偏重の教育、進学準備教育、職業教育に対する無理解、学校の権威の喪失、教師
表2 ◆増加を続ける少年非行
昭和57年中に県内で補導された少年は22,707人で、前年に比べ1,621人(7.7%)増加し、依然として戦後第三のピークを形成しています。
(注)▲は減少以下同じ
表3 成人を追い越す
全刑法犯の中に占める少年(14歳未満の触法少年を除く。)の割合は、昭和56年から半数以上となったのです。
表4 低年齢化が続く
16歳を頂点に14歳〜16歳少年が全体の52.2パーセントを占めています。