教育福島0081号(1983年(S58)06月)-013page
表11 被害や非行のケースが多い少年の家出原因動機別では、遊び癖・異性関係・家庭問題の順となっている。福祉犯の被害者204人中60人(29.4%)が家出少年でした。
(注)( )は女子で内数
いとの反省も、最近しばしば聞くところである。つまり生徒指導は、全教職員の一致した理解と方針によって実態に即応した指導を行うべきものである。
このために大切なこととして、第一に、校長の生徒指導に対する姿勢の重要性があげられる。校長みずから先頭に立ち、全教師の指導者としての責務を十分に果たしていくことが大切である。
第二に、生徒指導が具体的に取り組まれるように全体計画の中に位置つけ一人の児童生徒あるいは一人の教師の問題が、直ちに全教師の問題として対処できるよう組織化されなければならない。つまり、校務分掌の組織を整備改善し、その機能が十分に発揮できるように努めることである。
(4) 各教師の資質の向上
児童生徒に直接指導に当たる教師の指導力量に欠けているものがあるならいくら学校の体制が確立され、組織が明確化されていても十分とは言えない。教師自身がまず精神的に安定し、確かな指導力をもつことが望まれる。そのためには、まず第一に、「生徒指導は、人間の尊厳という考え方に基き、個性の伸長を図りながら、同時に社会的な資質や行動を高めようとするものである」という積極的な面の生徒指導の理念を自ら確立することが大切である。
第二に、指導の力量を高めるような研修に努めることが大切である。
最近の生徒は、教師の指導のあり方に対する不平や不満をもっている。たとえば、総理府青少年対策本部の調査(昭・57・7)によれば、「先生への暴力願望」の理由として、
○先生がえこひいきする。 五一・四%
。先生がしつこく叱る。 四二・一%
。先生がしっかりしていない。 三九・五%
というように、教師に対する不満が上位三位までを占めている。
したがって、学校運営全般(教科、道徳、特活なども含めて)の中での生徒指導に関する共同研究や研修を行うことが大切である。
(5) 生徒にとって魅力ある学校の確立
学校生活が生徒にとって魅力があるということは、非行化を防止するために有効であるばかりでなく、学校を各生徒の自己実現の場とするための基本でもある。
「授業の充実」は、学校における最大の課題であるが、非行や暴力行為にはしった生徒の共通する傾向として、学業不振があげられていることに注目したい。もちろん、自分の努力不足にはふれずに、学校生活への不満をもらすのも「現代っ子」の特徴でもあるが「授業内容がわからないので、学校がつまらない」ということに耳を傾け、「生徒の実態に基づく、わかる授業の展開」に努力することが大切である。
個々の生徒を理解するには、日ごろからの生徒との人間的なふれあいを密にすることが大切である。このことを基盤にして、更には、道徳教育を重視し、健全な道徳性の育成を図ること。学校の全教育活動を通して、道徳教育のあり方を改善し、充実すべきである。
第二に、教育相談の機能を充実させ個々の生徒と十分話し合い、生徒の進路、将来に対する見通しが明確になるよう援助し、毎日の生活の中に自信と希望を持たせることである。
(6) 問題行動予防のための早期発見に努める
常に「学校運営改善のための点検」を実施し、問題の早期発見、早期対策に努めるべきである。
最近の生徒の非行が、集団化、粗暴化の個向を示しているが、集団化することによって自分の責任が軽くなるように思ったり、孤立化の不安を取り除こうとしているようである。学級を越え、学年を越え、または学校を越えて広域的に集団化する傾向があるので、学校としては学級、学年にとどまるこ