教育福島0082号(1983年(S58)07月)-006page

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はる なつ あき ふゆ

 

かるたの心と技

永世クイーン 堀沢久美子

 

〔筆者紹介〕

 

〔筆者紹介〕

昭和四十七年中学一年生のときに、

「かるた部」に入り、初めてかるたを始める。昭和五一二年かるたクィーン位決定戦で、見事にクイーン位を獲得した。当時、山口県立小野田高校二年生の十七歳。最年少クィーンとして話題になる。昭和五十七年大阪教育大学を卒業後、山口立聾学校教諭となる。この間連続してクィーン位を防衛。昭和五十六年には、五期連続クィーン位防衛で初の「かるた永世クィーン」の称号を授与された。現在まで七期連続のクィーン。文字どおり才色兼備の二十三歳。女子かるた界はこの人の独壇場。昭和三十四年、山口県小野田市の生。現在は、聾学校を退職し大阪市に居住している。

 

鎌倉時代、藤原定家により選ばれた小倉百人一首は百首全体を通して、当時の人間模様や歴史を物語るといわれる。それで現在まで、美的鑑賞の具として受け継がれ、また、競技としても広く親しまれている。

競技かるたは、上の句を聞いて、下の句の札を取る速さを競う。例えば、「めぐりあひて見しやそれともわかぬまに…」の「メ」と聞いて、「くもがくれにしよはのつきかな」を取るのである。だから、深い意味を含む言葉も一音節ごとに分解してしまわなければならない。残念ながら、かるたを取ることと、歌を鑑賞することとは、別の楽しみなのである。

ところで、現代は、優雅な王朝文化ならぬコンピュター時代。コンピューター対人間で競技かるたをするとどうなるであろうか。

心を持たないコンピューターは相手に影響されることも迷いもなく、また、どの札に対しても万遍なく反応し、しかも、故障以外はお手付きもないであろう。しかし、ただそれだけである。一方、人間は、お手付きもするがコンピューター以上に速く反応することも可能である。つまり、コンピューターなら、ただ形式的に「住の江の…」の「Su」で反応するところを、人間なら、熟練により勘が養われ、子音「S」だけで判別できるようになる。しかしいつもできるとは限らない。その時の気力、精神集中の程度や、その札に対

 

 

 


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