教育福島0082号(1983年(S58)07月)-009page

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偏見について

お前は教えこまれねばならぬ

にくむこと恐れることを

お前は教えこまれねばならぬ

一年、また一年と…

お前は教えこまれねばならぬ、遅すぎぬうちに

六つ、七つ、あるいは八つになる以前に

縁者がにくむすべての人をにくむように

お前は丹念に教えこまれねばならぬ

(O・ハマーシュタイン2)世)

 

偏見あるいは誤解は、過去の経験に根ざす思い込みに基づいた判断であり確かな証拠や経験をもたない不確かな想像や証拠に基づいて、予め判断してしまうものである。特に、価値や態度については、産声をあげたときから学習がはじまる。父や母、あるいは祖父母及び兄や姉といった人たちが教え込むのである。ある人たちをさげすんだり、うとんじたりすることも、大部分はそうした中で身についていくのであろう。

 

三 養護教育の十分条件

 

心身障害児の教育を概括的に述べるなら、「対象となる児童生徒の障害の種類及び程度に応じて、系統的で、きめの細かいレベルの高い教育を行うこと」であるということができる。盲のA、聾のB、精神薄弱のC、脳性まひのDがそれぞれその人らしく成長するのを助けるのが学校教育なのであり、AやBをMやNにすることをめざすとしてもそれは不可能であり、悲劇である。

CはCらしく、DはDらしく専門教師の助力で、隠された能力を最大限に開発する側面を養護教育の必要条件とするなら、AはAらしく、BはBらしく個性豊かな社会生活を可能にするための、いわば十分条件を合わせ考えることの重要性がここ十年来強調されるようになってきた。世界的な潮流なのである。一般に、「交流教育」として定着してきている教育の作用がそれである。

交流教育の意義の一つは、障害児には健常者といわれている一般の人たちとのふれ合いによってのみ実現する人間的成長発達である。保護された環境状況においては、隠された能力を自発的に開発させることがむずかしく、むしろ結果的にある機能を退化させてしまう場合すらあるのである。第二には、一般の人たちが障害をもつ人たちと接することによって、障害児(者)に対する正しい認識・理解が得られるということである。人間の見方に広がりと深まりを増すのである。

障害児の教育に必要なのは、専門教師による指導・訓練・サービスであり、一般の人たちの心のこもったふれ合いを共感性といいかえるなら、人と人との間の共感性を豊かに広げていくことは今日の学校教育の大きな課題といえる。

経験を広め、社会性を養い、好ましい人間関係を育てることを目的とした交流教育の実施については、盲・聾・養護学校学習指導要領並びに小・中・高等学校に対する次官通達(昭和五十四年)によって示された。「養護教育交流推進事業」(県)及び「心身障害児理解推進校」(文部省)もその趣旨にそった事業である。昭和五十六、七年度指定の心身障害児理解推進校の実践研究の概要を今月号と八月号の二回にわたり紹介する。

 

人間愛の精神を

須賀川市立第一中学校

 

本校は、昭和五十六、五十七年度にわたり、文部省より「心身障害児理解推進校」の指定を受け、福島県立須賀川養護学校を交流相手校として「心身障害児の理解を深めるために交流教育をどのようにすずめればよいか」を研究主題とし、本校生徒と養護学校生徒との交流という人間的なふれ合いの場を通して、心身に障害のある生徒を正しく理解させるための研究をすすめてきた。

 

一 研究の構想

 

(一) 研究の基本的態度

 

1)研究のための特別な教育課程は編成せず、毎日の教育活動の中で研究を推進する。

2)本校教育目標の具現化をめざし、直接交流を積極的に取り入れ、道徳教育、特別活動を中心にすえ、焦点化する。また、実践可能な研究を推進ずる。

3)全職員の交流教育に対する共通理解を図り、研究を積極的に推進する。

4)父兄地域社会への啓蒙活動を行い、アンケート調査などの協力を呼びかけ、積極的に研究を推進する。

5)研修時間を確保し、時間割の中に位置つけて研究を推進する。

 

(二)研究の組織

 

1)研究組織の構成は校務分掌との関連を図る。

2)各学年部会が研究計画に従って研究を推進する。

3)研究推進委員会は、研究推進の中核となり、研究計画の企画、立案、実践の主体者として、研究の推進に

 

 

 


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