教育福島0082号(1983年(S58)07月)-017page

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社会の連携で、といわれてきたが、この中に中学校を加え、中学校と高校とが連携を深めるなかで、指導の一貫性を保ち継続的に指導にあたることが重要と考え、生徒指導研究部の研究主題を次のように設定した。

「中・高が連携を深めながら家庭及び地域の協力を得て、生徒指導の充実をはかるためにはどうしたらよいか」

 

(二) 進路指導研究部

 

高校進学率の上昇に伴い、入学者の資質や能力に格差が見られ、さらに卒業時の進路も多種多様であり、また、入学の目的についてもはっきりしていないものが多く、ただ漠然と入学してくるものも少くない実情である。そこで、地域の中学校との連携を深めることにより、生徒が将来を見通して進路選択ができるようにし、より適切な指導を行うことが望まれる。このことから次のような主題を設定した。

「生徒一人一人が能力と適性に応じた進路選択ができるようにするには、中学校とどのような連携をしたらよいか」

 

(三)学習指導部

 

近年、高校の中途退学者が増加している。なかには、「高校での学業に適応できずに途中で進路を変更して行くもの」も多くいる。「目的意識がない、意欲がない、学力が低い生徒が入学する」と嘆く声もあるが、これらは実態にどう対応したらよいか戸惑っている姿であろう。このような問題を解決するために研究主題を次のように設定した。

「生徒一人一人の実態に即して学習意欲を高め、学力をより向上させるには、地域の中学校とどのように連携したらよいか」

 

三 各研究部の研究方法と内容

 

(一)

 

1 現状分析

(1)中学校教師に対する基礎調査

(2)中学校三年生に対する基礎調査

(3)中学校三年生の保護者に対する基礎調査

(4)高校教師に対する基礎調査

(5)隣接高校一年生に対する基礎調査

(6)当校全生徒に対する基礎調査

(7)当校全生徒の保護者に対する基礎調査

2 中・高連携の街頭補導

(1)街頭・行楽地・祭礼・列車内等

3 一年生による出身中学校訪問

本校一年生が教師の引卒のもとで出身中学校を訪問し、前担任教師や後輩と懇談した。

4 当校教師の中学校訪問

ホームルーム担任と生徒指導担当教師で全ての出身中学校を訪問した。

5 中・高教師による非行防止対策会

安達地区内を範囲とする中・高連絡会は組織されているが、これとは別に、より小地域毎の組織(補導モニター委員会)を設け、より細かな非行防止対策を講じた。

6 中・高連携カードの利用

中学校時代に用いた生徒指導の内容をカード化し、それを高校で活用さぜてもらい、中・高で一貫した生徒指導を行う。

7 その他

従来からの指導・連携を更に推進する。

教育相談・一斉集会指導・週番活動・校風委員会・生徒方部会・服装指導・ロッカー検査等

 

(二) 進路指導研究部

 

1 現状分析

(1)中学校教師を対象にした意識調査

(2)当校生全員を対象にした意識調査

(3)当校保護者を対象にした意識調査

2 一日入学説明会

中学三年生と教師及び保護者に対して、当校の内容について理解をはかった。

3 中学生による当校訪問

地域の中学三年生に対し、一日体験入学を実施した。その内容は実習関係だけでなく、部活動の見学も行い、部活動に関するアンケートも同時に実施した。

4 求人状況の資料の送付

各関係中学校へ当校に対する求人の状況を一覧表にして届けた。

5 出身中学校別卒業生進路状況の送付

当校卒業生の出身中学校に対し生徒個々の就職先の会社名や住所を知らせ、本校への理解を深め、工業高校に対するイメージの明確化をはかった。

 

(三) 学習指導研究部

1 学習の悩みに関する基礎調査

生徒の学習の実態・つまづき・成就感等の把握

2 中・高校教科担任連絡会の開催

中・高の教科担任相互の理解を深め、信頼関係の強化をはかった。

3 授業公開・研究授業

学習指導法の改善のため、教師相互の情報交換を行った。

 

四 研究の成果と今後の課題

 

(一) 基礎調査の結果から判明したこと

 

1 種々の問題行動が同一出身中学校の関係で発生したり、中学生をまじえた行動であった事例から、最近の生徒指導の問題はただ一校だけでとか、各学校段階だけでは解決することはむずかしく、適切な対応はできにくい状況にある。

2 五十七年度は、関係中学校の理解を得て、組織が出来、中学校訪問も計画的に行われ効果をあげて来ているが、なお充実した活動をするために各研究部において内容を検討し改

 

 

 


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