教育福島0082号(1983年(S58)07月)-023page
六 児童・生徒および保護者の意識調査の実施
児童・生徒および保護者の意識と実態について、その現状と問題点を把握し、これからの生徒指導を推進していくための手がかりを得ることをねらいとして質問紙法による調査を行い、その結果を「子供たちと保護者の生活意識」の小冊子にまとめて刊行した。
調査対象の児童・生徒は、会津若松市の小・中・高校生活指導協議会に加盟しているすべての学校を対象に、小学校(十九校)は、六年生(各校一クラス)に中学校(十校)と、高校(十二校)は、ともに二年生(各校二クラス)とし、合計一八五五人について調査を行った。
また、保護者にたいしては、実施した児童・生徒に質問紙を家庭に持参させ後に学校へ届けてもらった。
調査内容は、生活領域(家庭生活、学校生活、余暇、悩み、友だち、問題行動など)を中心に昭和五十七年十月中旬の学級会やホームルームの時間に調査対象校の協力を得て実施した。
調査結果は、それぞれの小・中・高校生活指導協議会の事務局校が集計を行いそれをもとに生徒指導推進会議が最終的に考察と分析を行った。
今回の調査の特色の一つは、同じ設問について小・中・高校の児童、生徒が回答するとともに保護者とも対比、関連させて実施したことにある。
このことによって児童・生徒の発達過程の特徴や保護者との意識のかかわりなどから今後の地域ぐるみの生徒指導を推進する上で大きな手がかりとなった。
この度の調査の中から何項目か採り上げ紹介してみると。
(一) 「父や母との話しあい」について四つの選択肢から一つを選ばせる設問ではよく話すほうだ≠ニいう割合いが小学生で四十四%、中学生三十四%高校生三十九%と親子の話し合いは予想以上によくなされているようだが、重要なことは、どんな雰囲気で、何を話題に話し合っているかが問題であろう。
(二) 「家庭生活の悩みや心配ごと」について四つの選択肢から一つを選ばせる設問では、小学生で十三%、中学生で二十%、高校生で二十七%が家庭的な悩みを抱いている。
悩みの理由としては、中学生、高校生ともに一位は、親が自分のことを理解しない二位が、家庭内に争いごとがある≠あげている。
このように親は子供を理解していると思っていても、子供が理解されていない≠ニ意識しているところに、親子間の結びつきの現代的状況・課題があると考えられよう。
家庭内の争い≠ェ二位にあげられているが、これは子供や学校で解決できるものは少く、非行の原因となることが多いことを思うとき、健康な家庭を築くことが、青少年の健全育成に不可欠であることを示唆している。
(三)「学校生活の楽しさ」について三つの選択肢から一つを選ばせる設問では、楽しい≠ニ答えた割合いが、小学生で七十三%、中学生で五十四%、高校生で三十四%と、高学年になるほど楽しいと答える者が減少してくるのは、子供が成長するにつれ、欲求が多様化すると共に内容も膨らみ学校生活の中で充足しきれなくなることも一つの要因であろう。
子供たちの心構えは勿論だが、学校を教育関係者も大いに工夫改善の努力が必要であろう。
(四) 「先生と打ち解けて話し合うことがあるか」について、三つの選択肢から一つを選ばせる設問では、ある≠ニいう割合いが、小学生で十二%、中学生で五%、高校生で四%であった。
「打ち解けて」を子供たちが、どのように理解して回答したか、更に分析する必要もあろうし、評価や評定をしなければならない教師に対して、子供たちが「打ち解けて」自由に悩みや、本音を話しにくいことは事実であろうが、教育相談や個別懇談を充実させ、もっと率直に生徒が教師と話しあえる場を提供することが急務であろう。
(五) 「子供会や団体活動」をとおしての友だちづくりが小学生五%、数学生一%、高校生二%ときわめて低いが、今度の地域指定を契機に高めて行きたい。
(六) 「暴走族に関する」設問では、発生の原因について高校生は中学生より自己を抑制し、自己批判ができる年齢に達しているためか欲求不満≠フ比率が減り自己逃避≠ニみる割合が増えている。
いずれにせよ、確固とした人生観や生き方の目標がなく、また自制心も乏しいため、ひとたび「欲求不満」が起こると「自己逃避」や、「社会への反抗」となって、暴走行為に走るのであろう。
そして暴走族をどうとらえているかをみると、中・高校生とも馬鹿げている≠ニ考える割合いが七十%台と高く、健全な見識を抱いている点は心強いが、一方かっこよい≠ニやってみたい≠フ合計が中学生で二十九%、高校生で二十四%もある。
これらの生徒に対して地域ぐるみで健全育成のために努力していかなければならない。
(七) 「学校外の余暇利用」で、もっとも好きなものを七つの選択肢から一つ選ばせる設問ではテレビ・ラジオ・ステレオを聴くこと≠ェ小学生で二十六%で二位、中学生で四十八%、高校