教育福島0082号(1983年(S58)07月)-030page

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わたしの研究実践

 

肥満児の指導

白河市立白河第二小学校

 

一 はじめに

 

肥満児は、病理的には大きな問題をかかえていないが、発汗も普通児より多く 股ずれもしゃすいし、体重によって扁平足になったり、膝や背骨を痛めたりするという事実がみられる。

また肥満児は年頃になるといったんはスマートになることはあっても、これを放っておくと、その八割は肥満成人になってしまうといわれている。

肥満成人は、糖尿病、心筋梗塞、高血圧をはじめとして肝硬変、胆嚢炎、胆石症、慢性腎炎、痛風などのいわゆる成人病にかかりやすい。したがって小児期の肥満は、直接病気に結びつぐことはないにしても潜在的には病気を誘発する要因を持っているといえる。

肥満を教育的にみるならば、生活や行動の面にあらわれる消極性であり、その消極的なことは特に運動能力の面に大きくみられる。そのことが教育の究極のねらいである人間形成上大きな影響を与えることを重視しなければならない。肥満は、食餌療法や運動療法によって、やせることに成功したとしても、ふとりやすいという体質はなおってしまうわけではない。

肥満児教育においては肥満の治療を考えるよりは、そのふとりやすいという体質をカバーする食習慣や生活様式を、適応力のある子どものうちに、訓練によって身につけさせていくということが大切である。

以上のようなことから、肥満児は、放っておけない問題点が多くあり、それをふまえた指導の一例を述べたい。

 

表1 個人指導計画

表1 個人指導計画

 

二 実践の内容

 

(一) 児童の実態

 

1)二学年A子 ローレル指数一八五

2)ふとりはじめ三歳六か月ころ

3)肥満の要因として考えられる点

○時間的に不規則な食事

○食品のとり方がアンバランス

○運動不足

○両親から受けついだ体質

以上のような実態から体重をへらすことでなくできるだけふやさないようにしできるだけ一定に保つことに焦点をあてて指導をすすめることにした。

そこで、基本的な指導方針を次のようにたてた。

○運動量が極端に少ないということからその量をふやす。

○食事のありかたについては家庭の協力を得る。(過食・偏食)

○学校給食の指導では多くの指導をして精神的な負担にならないように配慮する。

 

(二)指導の実際

 

他の障害を持つ児童のいる中で、肥満児だけ特に目立つ指導の内容や方法にならないよう配慮し、この児童に適した方法で自発的に根気よく続けていけるものをみつけなければならない。

そのためには児童の実態を適切に把握することである。その実態を把握す

 

 

 


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