教育福島0082号(1983年(S58)07月)-032page
わたしの研究実践
低学力者の学校生活への適応促進
福島県立原町高等学校基礎学力調査会
一 はじめに
本校の基礎学力調査研究会は、昭和五十七年教育研究グループ奨励費補助団体の指定を受け、低学力者の学校生活への適応を促すための基礎研究に取り組むことになった。
本校は生徒学力差の著しい高校の一つであり、しかもその較差は広がる傾向にある。また数年来、低学力で入学してくる生徒数も増えてきている。このような現状に対し、生徒の学力向上と充実した高校生活のために、これまでも努力してきたところであるが、本研究はざらに効果ある方策をめざしての研究である。
なお、本研究は三か年間にわたる継続研究であるので、ここに報告するのは、その第一年次の概要である。
二 研究の主目標
低学力者に対する諸調査を継続的に実施することをとおして、その生徒たちが、基礎教科学習は勿論、学校生活に適応して、それぞれの個性の伸長をはかり、充実した高校生活をおくることができるようにし、さらには本校生全体の学力の向上発展をめざすことをねらいとする。
三 内容(第一年度)
(一) ねらい
ア 研究組織の確立と、職員相互間の理解
イ 研究計画の樹立
ウ 研究資料の収集・生徒の実態調査
エ 基礎教科学力の追跡調査
オ 基礎教科の学習内容、学習指導の改善に関する研究
(二)研究組織
昭和五十七年度入学者の学級担任を中心に、教科担任、教務担当も含め十三名。
(三)対象
ア 昭和五十七年度入学者中、特に入学者選抜学力検査(入試)成績で、英語、数学の得点が、それぞれ二十一点未満で入学した生徒。
イ 入学後、英語・数学の評点が四十点以下で、成績が低下した生徒(追加対象)なお、英語・数学を取りあげたのは、この二教科に学力差が著しく、入学後も成績不振者が目立つと考えられたからである。
(四) 実態把握諸調査
ア 入学者選抜学力の検査を分析して調査した。(その結果については省略する)
イ 生徒の生活および意識調査
主な項目についてみてみると次のとおりである。
ア)入学後の学習への意欲−−増した(十七・二%)不変(三十五・九%)減った(三十六・七%)
イ)ア)で「減った」と答えた生徒の理由
遊びたい(二十三、四%)授業内容が面白くない(二十一・三%)最低
でも卒業できればよい(二十一・三%)
ウ)毎日の授業への満足度−満足している(十九・五%)満足していない(六十・五%)未答(十九・五%)
エ)平日の家庭での学習時間−0分(十四%)三十分位(十四・八%)一時間位(三十三・六%)二時間位(二十四・二%)三時間位(四・六%)
オ)学校生活での不満なもの−校風が悪い(四一・六%)先生との人間関係が悪い(十三・三%)勉強がわからない(三十・四%)不満なし(十八・八%)
ウ 低学力者の出身中学校別調ベ
エ 英語基礎学力診断テストの実施「S」「K」の筆記体を書けない生徒が、それぞれ七名、三名もいた。
オ 数学基礎学力診断テストの実施小学校二年から中学校三年領域までの計算力
カ 知能検査・性格検査の実施
キ 入学後の学習結果の追跡調査
一学期末、学年末の各成績結果をみた。特に四十点以下の生徒の状況をみた。ただ、入学者選抜学力検査得点は比較のため、その得点を二倍した。また数1)をα、βに、英語をR、Cに分けて授業担当し、評点もそれぞれ別に出した。
その結果をみると、総じて男子に努力不足がみられた。数学も英語も、入試時よりも学年末で低学力者が増えて