教育福島0082号(1983年(S58)07月)-037page

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高校生では、神経症的なものが多くまた、一、二年生に多く見られる。入学はしたけれど自分の理想とのくいちがいの大きさに情緒不安定をおこし、登校の目的をなくしてしまうようである。中には、休学して医学的な治療を受けながら、カウンセリングを通して自我の確立のために適切な援助を受け一年遅れて復学した者、再受験して自分の希望校に進む者も多い。しかし、問題の多くは根が深く、長期にわたってもなかなか新しい方向が見い出せない者も少なくない。幼小の頃に親や教師は耐性や年齢相応の自我意識の育成を、はかっていくことが大切になる。この意味からも小・中・高校での一貫した指導と連携が望まれる。

3) 非行問題の増加

非行の相談は年々増加し、特に中・高校生の相談が増加している。(表2・3)中学生は盗癖と不良交友、高校生では不良交友とシンナー吸引が多い。特徴的に見られることは、家庭内の不和や両親の愛情不足が背景となっていることが多く、一方、学業不振のため学校への興味がうすれ、うっ積した不満が非社会的な行為に結びついていくものと思われる。生徒個々の性格や行動を的確に把握するとともに、自我の育成をはかる指導を、学校、家庭関係諸機関の連携のもとに考えていくべきである。

4)電話相談について

電話相談の件数は受信件数六百五十五件、発信件数二百七件、計八百六十二件である。対象者別に見ると、来所相談と同じように中学生(四十六・六%)、小学生(二十二・一%)、高校生(二十一・九%)であり、中学生が約半数を占めている。相談内容は、「性格・行動」が九十二・七%を占め中でも登校拒否が多い。電話による相談は八十分以上も要する場合があり、遠隔地の人たちの悩み解決の手助けとしての役割も大きい。相談件数は年々増加しており、今後も相談者への適切な対応を考えていかなければならない。

 

二 移動教育相談の実施

 

県教育センターの地理的位置に関係すると思われるが、来所相談件数の約半数が県北地区で占められていることから、他地区でも問題を抱えながら、遠隔地のために来所が困難な児童、生徒とその親のために、昭和五十七年度は、県内の六会場(会津、いわき、県南、相双、南会、県中)で延百三十四名の教育相談を実施し、問題解決のための助言にあたった。昭和五十七年度は、次の日程で移動教育相談を実施した。

相双(5/24〜5/267・県南(6/14〜6/16)・いわき(6/28〜6/30)・会津(7/5〜7/7)の各会場三日間である。

 

三 各関係機関の連携の必要性

 

相談内容も広範囲になり、心の病が複合されたかたちで含まれているため教育者と医師と心理学者との専門的な連携が、是非とも必要になってきている。家庭では学校や各機関との結びつきを深めるよう働きかけたい。

 

表3 昭和57年度 教育相談実人数一覧 教育相談部

表3 昭和57年度 教育相談実人数一覧 教育相談部

※○一般及び教員のらんは、該当する主訴の子供の相談で単独に来所した場合である。

○親子一緒にして来所した場合は、子供の方にのみ計上している。

○主訴の項目については、調査時点で関係あるもののみ掲載した。

 

 

 


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