教育福島0083号(1983年(S58)08月)-005page
巻頭言
二っのスポーツ
熊坂 寛
今や世界各国では、スポーツの振興を国策として選手の強化育成を図っています。
わが国に、スポーツが伝わったのは明治中期以後のことで、最初は大学生を主とした一部少数の人達だけのものでしたが、他の西欧から伝えられた諸文化と同様、先進国に見習うことから始めた各スポーツも、今日では国民各層に普及し競技種目数も四十を越し、普及の速さと種目数の多いことは世界にも例がないといわれています。
戦前のオリンピック大会で、陸上競技や水泳競技に、戦後は体操競技やバレーボールにわが国の選手が活躍しメーンポールに日章旗を揚げたので国民の志気大いにあがり、スポーツに対する関心が高まり、わが国のスポーツの普及に大きな影響を及ぼしました。
国内では、戦前の明治神宮体育大会と現在の国民体育大会は、スポーツを通して健全明朗で活力ある国民の育成を目的に開催され、天皇杯得点を争ってますが、従来のわが国のスポーツは勝敗を重視する競技スポーツのみでした。
一方、東京オリンピックの大会以後日本人の体力不足が認識され、国民の間にスポーツに対する関心が高まりました。また、最近は技術革新による機械化、オートメーション化が進み運動不足を招いています。運動不足解消のため身体に負荷を与えることは、人間の各機関によく機能するという自覚がスポーツ活動への欲求となり、健康維持と増大した余暇時間解消のため、見るスポーツからするスポーツに変わりつつあり、スポーツ実践者が急増の傾向にあります。
さらに、今日のスポーツは身体活動から精神活動への深まりをもち、身体の健全化に寄与するばかりでなく健全な社会形成の基盤としての人間性活を営むうえでスポーツの重要性が認められ、一層スポーツ人口が増加するものと思われます。
実践するスポーツの内容は同じものであっても、元気な若者を対象とし、強さを求め人間の可能性を追求し挑戦する競技スポーツと国民の健康保持増進のための国民スポーツの二つに大別することができます。
福島県体育協会は、従来競技スポーツ団体のみで組織していましたが、昭和四十七年法人化と同時に社会の要請に応じ国民スポーツ分野の市町村体育協会等を包含し、本県におけるスポーツの統括団体としてスポーツの普及振興に当たっています。
競技スポーツと国民スポーツは相互に深く関連し合って普及し振興するものです。国民スポーツの広い基盤の上に、競技スポーツの頂点は高まるものであり、競技スポーツの頂点が高まれば国民スポーツの底辺が広まり層が厚くなってきます。
昭和七十年に国民体育大会を本県に迎えようとしているわが体育協会は、これら二つのスポーツの普及振興に一層努力をはらわなければなりませんが、国民体育大会は、県民こぞっての一大行事でもあり、成功をめざして理解と協力の輪を大きくしていきたいものだと考えています。
(くまさかひろし・(財)福島県体育協会専務理事)