教育福島0083号(1983年(S58)08月)-008page

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豊かな学校教育

特集

 

はじめに

 

新教育課程の実施も、小学校は四年目、中学校は三年目を迎えた。

各学校が教育課程基準の改善の趣旨を生かし、県教育委員会重点施策の一つである「ゆとりと充実をめざす学校教育の推進」をめざして努力を重ねてきた。

この間、各学校の創意工夫と熱意によってさまざまの課題が、徐々に解決されてきたが、新たに生徒指導の問題がでてきている。

 

(一) 豊かな学校教育の展開

 

各学校では、地域、学校、児童生徒の実態をとらえ、自校の教育課題を明確にし、すべての教育活動を通じて教育目標が達成されるよう充実した指導が行われている。

しかし、新教育課程の実施の成果は児童生徒にとって学校生活や毎時の授業にどのような変容を与えたのか、あるいは、どう受けとめているのかについて確かめてみる必要がある。

その観点をあげてみると、

○児童生徒残心身共に安定した状況の下でより充実した学習が行われているか。

○教育活動は、創意を生かし、それぞれの地域や児童生徒の実態に即して適切に行われているか。

○基礎的・基本的な内容を重視した学習指導が展開されているか。

○豊かな人間性育成のため、教育課程はもとより、教育活動の全面で適切な指導が行われているか。

○自ら考え、正しく判断できる児童生徒の育成の場と方法を工夫し適切な指導が行われているか。更に、これらを達成するために、

○教育目標の検討とその具現策

○日課表の工夫

○指導内容の工夫と組織

○授業時数の運用

○創意を生かした教育活動の時間の運営

○学習指導の改善

(イ) 基礎的・基本的内容の徹底

(ロ) 学習意欲と主体性の育成

(ハ) 小学校低学年における合科的な指導

○個性・能力に応じた指導

(イ) 個に応ずる学習指導の工夫

(ロ) 特別活動、道徳指導の配慮

(ハ) 選択教科の運営

(ニ) 進路指導の充実

○学習の遅れがちな児童生徒、心身に障害のある児童生徒への配慮

○学習指導計画評価の工夫

(イ) 指導と評価の一体化などの具体策が必要であろう。各学校では、関係法令、学習指導要領に示すところに従うとともに、地域学校の実態及び児童生徒の心身の発達段階や特性を十分考慮して、学校教育をすすめることが大切である。

 

(二) 生徒指導の充実と非行事故の防止

 

児童生徒の非行は、年々増加し続け.ており、深刻な事態を迎えている。

こうした当面の問題への対応と共に「すべての児童生徒を対象とする自己実現への援助指導」という本来的な生徒指導を一層充実する必要がある。

特に現在、問題行動の発生をみていない中学校や小学校においても、個々の児童生徒をよく理解すると共に、生活の中にみられる傾向や心情をとらえるなどして適切に指導をする。

また、生徒指導や非行防止の指導を徹底するためには、

○職員の共通理解と同一歩調の指導

○保護者・地域の信頼と協力

○校内における望ましい人間関係の促進

などを基盤として、より強力にすすめる必要がある。

 

(三) 教職員の指導力の向上

 

豊かな人間性の育成や個性・能力に応ずる指導など、児童生徒の全人的な教育をめざす新教育課程の実施に対応する指導力の向上が必要であろう。

そのためには、校内研修の領域の偏りや研修方法に改善を加えて、毎日の実践に結びつく研修となるよう努めることが大切である。

 

一 学年・学級経営の充実

 

(一) 学年・学級経営の今日的意義

 

 

 


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