教育福島0083号(1983年(S58)08月)-011page

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現するためには、学校の創意を生かした教育課程の編成、実施が望まれる。

児童生徒は学習において、よく理解し、自ら進んで課題を追求し、わかる喜びを体験したとき、はじめて成就感をもち、次の学習への意欲を高めることができる。また、学校の集団の中で何らかの役割を果たし、教師や級友から評価され、学校生活に適応して自己実現が図られたとき生きがいをもって学校生活を送れるものである。そのためには、

○学校の教育活動全体を検討し、学校や教師が創意工夫をこらした指導が展開できるようにすること

○児童生徒の学校生活に精神的、時間的ゆとりをもたせること年間を見通して、学期、月、週及び一日の生活時程並びに学校の創意を生かした教育活動を検討することが大切である。

 

(三) 教育課程の実施

 

教育課程の実施を効果的に進めていくために、次の点に留意したい。

ア 好ましい人間関係を基盤とした生徒指導の充実を図ること

学校生活や授業が児童生徒にとつて楽しい充実したものにしていくためには、その基盤としての相互の人間関係が温かい信頼関係によって結ばれていることが大切である。

教師は、こうした好ましい学級集団を育てていくために、愛情を基盤として、児童生徒の中にとけこみ、一人一人の生徒理解を行ない、人間的な接触を密にして生徒指導の充実

を図っていくことが必要である。

イ 特別活動を重視し、組織化すること

特別活動は、他領域にもまして、児童生徒の自主的、実践的な態度の育成を直接のねらいとしている。教育課程審議会の答申においても、この活動の一層の充実を要請している。

特別活動は、内容が多岐にわたっており、学校ごとに児童生徒の実態を生かし、創意をこらす余地が他領域に比べて非常に多い。これを工夫することによって、教育課程の実施に学校の独自性を生かすことが大切である。

ウ 児童生徒の実態に応じた授業を展開すること

児童生徒にとって、学校生活の大部分が授業である。ゆとりある充実した学校生活を送らせるためには、先ず授業がゆとりある充実したものでなければならない。児童生徒一人一人が学習内容を理解し「できた」とか「わかった」という成就感や成功感を味わうことができるようにすることが大切である。

そのためには、教師中心の一斉授業をできる限り改めて、児童生徒自身が考えたり、話し合ったり、作業したりして、学習体容を確実に身につけさせるような授業の展開に努めることが必要である。

 

(四) 教育課程の評価と改善

 

ア 評価と改善の基本的な考え方

教育課程は、学校教育の全領域に及ぶ教育計画の統括的な働きをするものである。したがって、評価の対象領域が広いため、ややもすると漠然とした評価になりやすいので、ねらいを明確にして取り組む必要がある。また、評価の方法は、学校の実態に応じて工夫することが大切である。評価に当たって次のことを留意したい。

○全教師が協力して、組織的に進めること

○計画を立てて、積極的に進めること

○客観的な評価の資料を収集して進めること

イ 改善への手だて

各学校における教育の成果を高め一層充実したものにするために、教育課程の評価の結果に基づいて適正なものに改めるために、次のことに留意したい。

○教育課程改善の計画を学校経営の

中に位置つけること

○教育課程改善のための組織をつくること

○教育課程の評価の結果に基づいて改善の方針をたてること

○教育課程の改善事項を検討し、改善の具体案を作成すること

地域や学校の実態及び児童生徒の心身の発達や特性に即し、一層、調和と統一のある教育課程の編成ができたとき、教育課程の評価と改善がなされたことになる。

 

三 学習指導の質的な改善・充実

 

教師はだれでも、よい授業をしたいこれだけは身につけさせたい、と願いながら授業に取り組んでいる。

しかし、教師の願いとはうらはらに、児童生徒の学習態度には、

○積極的な気構えが見られない

○少し難しいと考えることを放棄する

○移り気で一つのことに集中できないなどの無気力傾向や、自分勝手な行動も見られる。児童生徒は「授業がわからなく、面白くないから」という。

授業はなぜわからないのか。わかるようにするには、どうすればよいのだろうか。

 

(一) わかる授業の創造

 

授業をわかるようにするためには、指導方法の改善と併せて、教師の授業観の変換や、児童生徒の自主的な学習態度を育てる指導が必要である。

 

1 児童生徒主体の授業観の確立

 

授業は、教師が価値ある内容を児童生徒に授けるものという考え方から、児童生徒自らに学び取らせるものとい

 

 

 


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