教育福島0083号(1983年(S58)08月)-012page

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う考え方に変わらなければならない。

教師は、授業における自分自身を直視し、次の視点から反省することが大切である。

○学習の計画立案に当たって、児童生徒の意見を取り入れているか。

○教師の発問、説明等が、多過ぎないか。

○児童生徒が調べたり考えたりする時間を、十分確保しているか。

○授業中、児童生徒の意見を、ときには、予定の展開を変更する程に、自由に取り上げているか。

○児童生徒が、教師の手を離れても、ある程度自分たちで学習が進められるようになっているか。

 

2 学習意欲を高める工夫

 

児童生徒を授業に主体的に取り組ませるためには、何といっても、学習意欲を換起しなければならない。ここでは、意欲を換起させる要因の中から、学習の目的と目標について強調したい。

1)学習の目的意識の高揚 

児童生徒に、学習することの意味をしっかりとらえさせておくことである。

小学校の低学年では、具体的で短期的なものになろうが、小学校の高学年や中学校では、もっと生き方ともかかわったところで、学習の目的をしっかりしたものにさせておきたい。

2)学習目標、学習課題の個別化

児童生徒にとっては、切実な目標や課題である程、学習意欲は大きくなる。

一斉指導という形の中では、ややもすると、目標や課題が学級集団の共有のものとしてまとめられてしまいがちである。教師は、その裏にある個々の児童生徒の目標や課題を明確にしてやる努力が大切である。

 

3 「学習のし方」の学習

 

主体的な学習が成立するためには、児童生徒が「学習のし方」を身につけていなければならない。教師が強引に教え込む授業ではなく、「学習のし方」を学んでいく姿を望みたいものである。

1) 学習の手順「学習のし方」には、まず、どんな順序で学習すればよいかという、「手順」にかかわるものがある。

これは、授業の過程とおおよそ合致しており、場合によっては、一般的・基本的な「手順」をプリントなどで示しておくのも一つの方法である。

2) 学習の手だて

「手順」の中には一つ一つの学習活動がある。その活動のための「手だて」が、学習の成果にかかってくる。

教師は、こうした学習の「手順」「手だて」の両面にわたって「学習のし方」を身につけさせるため、日々の授業の中で、きめ細かな配慮をしていかなければならない。

 

4 到達可能な目標の設定

 

児童生徒がいくら努力しても、手の届かない目標を掲げていたことはなかったろうか。

児童生徒にとって、到達可能な目標にするには、次の配慮が必要である。

○児童生徒一人一人の現在の力を、しつかり把握しておく。

○目標の設定に当たっては、個々の児童生徒の考えを反映させる。

○学習の終了時に、児童生徒が到達できたかどうかわかるような、いわゆる行動目標的な掲げ方をしておくσ

 

5 学習内容を定着させる工夫

 

各学年各教科において、これだけはぜひという内容が、必ずあるはずである。

それについては、全児童生徒に、確実に習得させなければならない。それには、次の手順をふむ必要がある。

○各教科、各学年の基礎的・基本的内容は何なのかを洗い出す。

○内容を構造的にとらえ、思考の系統や技能習得の順序を明らかにする。

○資料や教育機器等を活用し、児童生徒の興味や関心を高めるとともに思考しやすいように工夫する。

○練習の機会をできるだけ多くする。

○絶えず評価し、どの児童生徒が、どこまでどの程度でき、どこでつまずいているかを具体的に見いだす。○つまづきの要因を探り、取り除く方途を講ずる。

 

6 学習成果の意識化

 

体育図工、美術、技術・家庭等では、自己の技能の高まりや作品のできばえをはっきりとらえることができる。

これらについてだけでなく、文章表現力の高まりや社会事象の認識の深まり等についても、VTR、テープレコーダー、ノート、作品等を活用して、学習成果を視覚や聴覚でとらえさせる工夫を期待したい。

 

(二) 授業を充実させるための条件・

 

よい授業を実現するには、直接的な条件として次のことがあげられる。

○教科の本質に即して、的確に目標をとらえる。

○児童生徒のレディネスをとらえる。

○学習課題を明確にとらえさせる。

○教材内容を明確にとらえる。

○個別指導の徹底を図る。

○学習態度の育成を図る。

○効率の高い指導方法を工夫する。

○たしかめを適切に行う。

しかし、このことだけでは十分でない。児童生徒が、安定した心で、自分の能力を十分に発揮した活動ができるようにするためには、学習集団や学習環境などの学習の基盤づくりも重要な条件である。

○よい授業を支える学習集団づくり

 

 

 


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